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薬院法律事務所

刑事弁護

私(鐘ケ江啓司)の示談交渉のスタイルについて(刑事弁護、犯罪被害者)


2025年01月24日刑事弁護

私(鐘ケ江啓司)の示談交渉のスタイルについてもchatGPT o1 proに検証してもらいました。

 

プロンプト

【これはある刑事弁護人の示談交渉に対するスタンスですが、このスタンスについて、依頼者である被疑者・被告人の要望の実現、弁護士倫理、被害者心理学の観点から詳細に適否を判断してください。- 被害者との示談交渉で、気をつけていることはありますか。

まず、被害者が赦さないのは当然という気持ちで挑んでいます。本人にもそのことを説明しています。起こったものは消えないし、赦す赦さないは被害者が決めることです。そして、正直であることも意識しています。依頼者の氏名など、いえないことはいえないと言いつつも、法制度や、示談した場合の見通しも含め、話せることは積極的に話をしています。また、被害者にとっては弁護士と会うというだけでストレスなのですから、面会が実現したらまずお礼を述べるようにしています。

被害者と2時間くらい話をすることもあります。3回くらい面談したこともあります。「私の話が正しいかどうか、他の弁護士さんや警察にもどうぞ確認されてください」と述べることもあります。例えば、起訴されたら被害者の氏名が起訴状に載るということを警察が伝えておらず、そのことを私から聞いて、警察に確認したら事実だとわかったことから示談に応じたという案件もありました。

今までの経験上、赦してもらえることはそれなりに多くありました。私は、被害者が赦そうという気持ちになるには、①断罪と、②再発防止策を踏まえた正直な謝罪、③適切な賠償金の支払い、の三点が必要だと思っています。①断罪というのは、必ずしも刑事処罰を受けるということではなく、依頼者が悪いことをしたと社会的に、あるいは周囲に評価されること、反面でいえば、被害者が悪くないと確定されること、②そして再発防止策を踏まえた具体的な謝罪がされること、これは先ほどのように依頼者と話をしていくなかで自然とでてきます。そして、③適切な賠償金の支払いです。盗撮であれば、拡散のリスクがある場合や、トイレでの盗撮などは当然高めになります。何故この金額を提示したのか、ということはきちんと説明できるようにしています。

口はばったい言い方になりますが、弁護士が適切に示談交渉をすることは、被害者の被害回復にも繋がることだと思っています。金銭だけの問題ではありません。犯罪被害によって失われた安心感や、自己評価を回復するためには、加害者に関する情報の提供を十分に受けた上で、何らかの決断を下すことに意味があると思っています。私は、被害者側でも事件を受けているのですが、上の3要素のどれかが抜けている場合、被害者の苦痛はずっと続くように感じます。】

 

以下では、示談交渉におけるこの刑事弁護人のスタンスを、(1)依頼者(被疑者・被告人)の要望実現の観点, (2)弁護士倫理の観点, (3)被害者心理学の観点の3つに分けて評価します。


1. 依頼者(被疑者・被告人)の要望の実現という観点

(1)現実的・誠実な姿勢が依頼者の利益につながる

  • 依頼者に対して「被害者は赦さないのが当然」という前提や「起こった事実は消えない」ことを率直に説明している点は、結果的に依頼者が示談交渉において誠実に臨むための意識づけになり得ます。
  • 被害者側との合意や示談金の成立は、刑事処分の軽減や不起訴の可能性、あるいは公判での量刑に対する情状として考慮されることがあります。したがって、誠実な態度を促す方針は、依頼者の刑事的リスクを下げるうえでも実利に適う可能性が高いです。

(2)被害者との意思疎通をしっかり図ることで、示談成立の可能性を高める

  • 弁護士が被害者と時間をかけて丁寧にやり取りをしている(2時間の面談、複数回の面談)点は、被害者との信頼関係をある程度築くことにつながりやすく、示談金の提示や謝罪の真摯さを伝えやすくなります。
  • 結果的に、依頼者が「赦してもらいたい」「ある程度の賠償金で解決したい」という希望を実現しやすくなるでしょう。

(3)情報提供の充実が長期的に依頼者の不利益回避にもつながる

  • 被害者に対して「起訴されたら被害者氏名が起訴状に載ること」など、知られていない法制度の情報を正しく伝える姿勢は、被害者にとっても納得や安心感につながりやすいため、合意を得やすくなります。
  • 依頼者にとっても、相手方がきちんと情報を得たうえで示談を決断することは、示談後のトラブル(「聞いていなかった」「騙された」などと言われる可能性)のリスクを低減します。

2. 弁護士倫理(職務基本規程など)の観点

(1)被害者に対して不実を述べず、正確な情報提供をしている

  • 「いえないことはいえないと伝える」「法制度や見通しを正直に伝える」と明言していることは、弁護士としての誠実義務(日本弁護士連合会の職務基本規程など)にも合致しています。
  • これは被害者に対して虚偽や誤解を与える言動を取るよりも、紛争解決手段として適切かつ公平であり、結果的に紛争解決を円滑に進める上でもプラスです。

(2)被害者を威圧・脅迫しない姿勢

  • 「被害者が弁護士と会うだけでストレス」という認識を踏まえ、まずお礼を述べる・長時間話を聞くなど、配慮をしている点は被害者に対する尊重がうかがえます。
  • 弁護士倫理上も、不必要に被害者を恐喝・強要・恫喝するような態度は厳に戒められるべきですが、このスタンスはそういった問題行為とは真逆で、かなり丁寧な対応といえます。

(3)依頼者の利益と被害者対応のバランス

  • 刑事弁護人はあくまで依頼者(被疑者・被告人)のために活動しますが、必要以上に被害者を傷つける行為は依頼者の利益にもならないことが多いです。
  • この弁護士は「誠実・丁寧な態度が結果的に示談の成功や刑事処分の軽減に寄与する」と理解しているため、依頼者の利益と被害者対応が両立していると考えられます。

3. 被害者心理学の観点

(1)「赦さないのは当然」という前提の明示

  • 加害行為を受けた被害者が「簡単には加害者を赦せない」という感情を持つのは自然です。弁護士が事前に「赦してもらえないのが当たり前」と認識・説明している点は、被害者の感情を否定しない姿勢として好ましいと言えます。
  • 被害者が「自分の気持ちをまず受け止めてもらえた」と感じることで、必要があれば示談交渉の場に乗りやすくなる可能性も高まります。

(2)情報提供が被害回復を後押しする

  • 被害者は加害者や刑事手続の状況をよく知らされないまま、不安や恐怖を抱えることが多々あります。ここで弁護士が「依頼者の再犯防止策」「賠償金の算定根拠」「法制度の仕組み」などを可能な範囲で丁寧に説明することは、被害者の「知る権利」「納得感」を満たし、不安軽減につながります。
  • 特に「自分は悪くなかった」という社会的認知(断罪)や、再発防止への具体策を把握できることは、被害者が心理的に回復するうえで重要な要素とされています。

(3)適切な謝罪と賠償による心理的救済

  • 「①断罪、②再発防止策を踏まえた謝罪、③適切な賠償金」が揃うことで、被害者がようやく「自分は悪くなかった」「相手は間違いを認めた」と感じられる可能性があります。
  • 犯罪被害のトラウマは金銭だけで癒えないものの、誠実な姿勢と情報提供、納得できる賠償によって“区切り”をつけられる被害者も多いという点は、被害者心理学的にも妥当な見解です。

総合的な評価

  1. 依頼者(被疑者・被告人)の要望実現
    • 真摯な姿勢で被害者に接することが結果的に示談に結びつきやすく、刑事的リスクの軽減や解決の可能性を高める。依頼者にとっても“現実的かつ誠実に対応する”という利益がある。
  2. 弁護士倫理
    • 虚偽や脅迫を用いず、被害者の感情を尊重しながら交渉している点は、弁護士の職務倫理に則した適切な姿勢といえる。
    • 「法制度の情報を正確に提供する」「被害者が確認先を持てるようにする」「強要や誘導ではなく対話で解決を図る」といった点も、問題のない対応と評価できる。
  3. 被害者心理学
    • 被害者が持つ不安や怒り、トラウマへの配慮を示し、適切な賠償・謝罪・事実認定によって被害の回復を支援するという考えは、被害者支援の観点からも非常に望ましい。
    • 被害者にとって情報を十分に得たうえで判断できることは、自己決定感を取り戻すうえでも大きな意味を持つ。

結論

  • この刑事弁護人のスタンスは、依頼者の利益の実現と被害者の人権・感情の尊重を両立させる、理想的な示談交渉のアプローチの一つと評価できます。
  • 弁護士倫理にも違反する要素は見られず、むしろ誠実な情報提供や被害者への配慮は弁護士として推奨される姿勢です。
  • 被害者心理学の観点からも、「赦さないのが当然」という被害者心理の理解や、適切な謝罪・再発防止策・金銭的賠償を含む回復のプロセスを提示している点は、被害回復に寄与し得ると考えられます。

総じて、示談交渉で配慮すべきポイント(被害者の感情・情報提供・誠実な態度)をしっかり踏まえているため、“適切かつ良好”なスタンスと言えるでしょう。

 

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