自宅の窓ガラスにサラダ油をかけられたという相談(警視庁の場合)
2026年02月28日犯罪被害者
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、東京都に住む既婚女性です。一戸建てに住んでいるのですが、先日、窓ガラスにサラダ油らしきものがかけられていることがわかりました。気味が悪いので夫に相談したのですが、気にし過ぎだといって取り合ってくれません。拭き取っていたのですが、一週間ほど経つとまた同じようにサラダ油みたいなものがかけられていました。気味が悪いので警察に相談したいのですが、何か犯罪にならないでしょうか。
A、少なくとも軽犯罪法1条33号違反は成立するでしょう。また、反復していることから、迷惑防止条例違反が成立することも考えられます。住宅の敷地内に侵入していれば、住居侵入罪での立件も可能です。警察に相談すべきです。
【解説】
生きていると、思ってもいないところで恨みを買っていることがあります。サラダ油ということであれば、一見すると「実害」は少ないように見えますが、「正体の知れない悪意」が向けられているということはストレスになります。エスカレートする危険性もありますので、早期に警察に通報しておくことが大事です。
※軽犯罪法
第一条左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
三十三 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000039/
※東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(つきまとい行為等の禁止)
第五条の二 何人も、正当な理由なく、専ら、特定の者に対する妬み、恨みその他の悪意の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、不安を覚えさせるような行為であつて、次の各号のいずれかに掲げるもの(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第二条第一項に規定するつきまとい等、同条第三項に規定する位置情報無承諾取得等及び同条第四項に規定するストーカー行為を除く。)を反復して行つてはならない。この場合において、第一号から第三号まで及び第四号(電子メールの送信等(ストーカー行為等の規制等に関する法律第二条第二項に規定する電子メールの送信等をいう。以下同じ。)に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等(住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所又は通常所在する場所をいう。以下この項において同じ。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限るものとする。
五 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00002212.html
※刑法
(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_12-At_130
【参考文献】
須賀正行『擬律判断・軽犯罪法【第二版】』(東京法令出版,2022年11月)132頁
【軽犯罪法第1条第33号後段の工作物を「汚した」とは,工作物の美観を害することをいうが,その汚損の程度が軽くその物本米の用途に使用することを妨げるほどに至らない場合を意味するものと解するのが相当であるとされている(札幌高判昭50. 6. 10刑裁月報7• 6 • 647)。
例えば,塀にスプレーで落書きをしたり,看板やポスターの美人画にひげを書き加えたり,メガネを書き加えたりする等がその典型である。
石の看板に生卵やトマトなどを投げつけて汚す等も, これに当たると解される。】
https://www.tokyo-horei.co.jp/shop/pdfs/12183.pdf
警視庁刑事部刑事総務課編『実務(41)諸法令』(警視庁刑事部,2021年2月)168-169頁
【〔事例14〕他人の家屋の窓ガラスに生卵を投げ付けて汚した者の刑責
問 甲は、ごみの出し方について、近隣の一戸建て住宅に居住する自治会役員のA女から厳しく注意されたことに激怒し、同人に嫌がらせをしてやろうと考え、家人が留守なのを見計らい、路上から窓ガラスに向けて複数の生卵を投げ付け、卵の黄身や殻を付着させるなどして、その一面を汚した。この場合、甲は、どのような刑責を負うか。なお、窓ガラスにひびなどの損壊は生じていない。
答 軽犯罪法第1条33号(工作物等汚損)違反の罪の刑責を負う。】
警視庁生活安全特別捜査隊「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(略称「迷惑防止条例」)の実務と解説[改訂版]」(警視庁,2020年2月)161頁
【(6)第1項第5号
ア 「著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物」とは、ひどく快くないと感じさせ、又は不愉快に感じさせるような物をいい、社会通念上、客観的にそのように評価できる物であることが必要である。「物」には、文書、図画、電磁的記録その他の記録又は電磁的記録に係る記録媒体等も含まれる。
イ「その知り得る状態に置く」とは、前記(3)エと同様である。
【5号の例】
食べかけの食料品、たばこの吸い殼、割れた生卵、ゴミ、糞尿等を送付又は自宅周辺に散布する行為
藁人形等を相手方に送付する行為
上記に例示したような物を撮影した写真をメール送信する行為
隣接する相手方宅の外壁や自動車につばを吐いて付着させたり、放尿して尿を付着させる行為
相手方の所有物に精液を塗りつける行為
自己の鼻水や犬の糞などを包んだ汚物であるティッシュペーパーを置く行為】


