覚醒剤使用事件に情状証人は必要かという問題(違法薬物、刑事弁護)
2019年07月22日刑事弁護
犯罪白書によると、情状証人を立てることは大事な意味があるようです。
<第2部> 特集「再犯防止施策の充実」(7編)【PDF】42頁
【他方,執行猶予者調査によると,4年以内の覚せい剤取締法違反による再犯率は,監督誓約者がある者では約19%であるのに対し,これがない者では約45%と顕著に高く,監督誓約者の存在は,再犯の抑止要因として大きく作用していることがうかがわれる。】
【2 「監督誓約」は,裁判において,証人出廷又は書面提出の上,釈放後の被告人に対する監督を誓約したことをいう。 】
小森榮「もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術Part2⑨覚せい剤事件の現状と弁護活動」季刊刑事弁護83号111頁
【同種前科を持つ被告人の場合、情状で得点するためのポイントは、ずばり再犯防止です。一般に、前科者は犯罪を繰り返すたびに、更生のための環境は劣化し、更生意欲も低下するといわれる中で、本人が意欲をもって再犯防止のための条件づくりに取り組む姿勢は、高く評価されることでしょう。
具体的な条件はケースごとに異なりますが、平成21年版犯罪白書の特集「再犯防止施策の充実」6には、踏み込んだ再犯防止策についての内容が掲載されています。たとえば、執行猶予者調査の分析に基づいた覚せい剤事犯者の再犯防止策の記事には、有効なポイントとして、次のような内容が示唆されています。
・就労状況が安定し、同居者が改善更生を支えることで、再犯リスクは低くなる
・覚せい剤使用を勧めるような暴力団等の関係者との交友関係を断つ
・女性では、交際相手等との共犯が多いことから、交遊関係を清算することも必要
・監督者の存在によって再犯率は大きく影響される。監督者の存在が重要】