論文紹介 嘉門優「性的姿態の撮影罪等の新設」刑事法ジャーナル78号(2023年11月号)49-57頁
2024年10月08日刑事弁護
立命館大学教授の嘉門優先生が、性的姿態等撮影罪について検討した論文です。
立案担当者解説では述べられていない部分について、構成要件該当性につき幅広く検討しており執務の参考になります。
現状では、警察に性的姿態等撮影罪として立件されているのはこれまで迷惑行為防止条例違反で取締りがなされていた事例
①駅などでの下着等の盗撮
②露天風呂等での裸の盗撮
③自宅等での性交・性交類似行為中の姿態の盗撮
の3点となっていると思われますが、条文の構造上は広く処罰できるようになっており、「正当な理由」の解釈次第では、老若男女問わず、撮影者が性犯罪者として処罰される可能性がある条文になっています。
そうなると、警察において、恣意的な運用ということが起こりえるので(例えば、撮影者が女性であれば立件しないが、男性であれば立件する等)、弁護士としては、個別の案件に対してそれがそもそも立件されるべきものかということを吟味していく必要があると思います。川崎友巳「性的姿態等撮影罪の検討」法律時報2024年10月号(1208号)30-35頁も参考になるでしょう。
刑事法ジャーナル 第78号