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薬院法律事務所

刑事弁護

警察官が、弁護人との接見内容をしきりに聞きたがるという相談


2026年02月07日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

Q、私は、福岡市に住む30代男性です。先日自動車の酒気帯び運転で物損事故を起こしてしまい、現場にかけつけた警察官から逮捕されました。3日後に釈放されたのですが、免許取消だけは避けたいと思って弁護士さんに依頼したところ、弁護士さんからは以後は黙秘するようにといわれました。弁護士さんのアドバイスどおりに取調べに出頭して黙秘をしているのですが、最初は優しい感じだった警察官がいらついた態度を見せるようになり「弁護士から何か言われているのか」「黙っていてもいいことはないぞ」と言われています。心配になっているのですが、弁護士さんは黙秘するようにというだけで理由がわかりません。どうすべきでしょうか。

A、担当されている弁護士さんに訊くべきことですが、一般論として警察官が弁護士との接見内容を訊き出すことは禁忌とされています。それでもあえて訊き出そうとしてくる警察官はいますが、その場合は「黙秘されると何か困ること」があるとみるのが通常でしょう。通常であれば、ご相談の内容であれば逮捕後の3日間があれば調書は仕上がっているはずですが、何らか取り損ねていた事項があることが考えられます。

 

【解説】

 

警察官が弁護人との接見内容を訊き出すことは通常は許されない行為とされています。もちろん、弁護士が口裏合わせ等の証拠隠滅行為を指示している疑いがあるといった場合に聴取が許される場合がありますが、秘密交通権を侵害する行為とされるからです。ただ、それでも警察官があえて訊き出そうとする場合には、何らかの意図があるといえるでしょう。ご相談の場合には黙秘されると都合が悪いことがあるとみるべきかなと思います。とはいえ、具体的な事件を離れての判断はできませんので、まずは弁護士とよく協議をされることです。

 

【参考文献】

 

幕田英雄『実例中心捜査法解説 第5版』(東京法令出版,2025年7月)467頁

【1接見内容を聴取することの原則的禁止
法39条1項は、身体の拘束を受けている被告人及び被疑者(以下本設問では「被疑者等」という)は弁護人等と「立会人なくして接見」できるとしている(秘密接見交通権)。
秘密接見交通権が保障されているのは、被疑者等が弁護人から有効で適切な援助を受けるためには、被疑者等と弁護人の自由な意思疎通が捜査機関に知られることなくなされることが必要不可欠であり、接見内容が捜査機関に知られることになれば、これを慮って、被疑者等と弁護人の意思疎通に萎縮的効果が生じ、被疑者等が有効で適切な弁護人の援助を受けられなくなると考えられるからである。したがって、捜査官は、接見に際して立ち会うことが許されないのは当然であるが、事後的に、接見内容について聴取することも、「捜査妨害的行為等接見交通権の保護に値しない事情等特段の事情のない限り」許されない(鹿児島地判平20.3. 24 志布志事件接見国家賠償判決)。】

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