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薬院法律事務所

刑事弁護

軽犯罪法違反事件の弁護要領・第11回 軽犯罪法1条11号(軽犯罪法、刑事弁護)


2024年12月23日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私はアパートの2階に住んでいる大学生です。自宅の窓から古くなったペットボトルのお茶の中身を捨てたところ、下に人がいたようで怒鳴り込んできました。無視していたところ、警察を呼ばれ、警察官から軽犯罪法違反だといわれています。わざとではないのですけど犯罪なのでしょうか。

 

A、ご相談者の行動については、軽犯罪法1条11号の危険物投注等の罪が成立します。謝罪すれば厳重注意処分や始末書で済む案件だと思います。

 

 

【解説】

本日は、軽犯罪法第1条第11号「相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者」について解説します。

その趣旨は、【本号は公衆の身休又は物件を危害から保護するための規定である。】(野木新一・中野次雄・植松正『註釈軽犯罪法』(良書普及会,1949年2月)50頁)とされているところです。

本件の場合は、お茶といっても、人が濡れて不快感を与える可能性はあるのですから、仮に人にあたらなくても軽犯罪法違反は成立します。

 

軽犯罪法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000039/

第一条左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
十一 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者

 

【参考文献】

 

伊藤榮樹原著・勝丸允啓改訂『軽犯罪法 新装第2版』(立花書房,2013年9月)120-121頁

【道路交通法(昭和35年法律第105号)第76条第4項第4号(石,ガラスびん,金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ,又は発射する行為の禁止),第5号(前号に掲げるもののほか,道路において進行中の車両等から物件を投げる行為の禁止)に違反する罪は,本号の罪と特別法の関係に立つと解されることから,道路交通法第76条第4項第4号又は第5号が成立するときは,本号の罪は成立しない(注】

https://tachibanashobo.co.jp/products/detail/3110

 

軽犯罪法違反事件の弁護要領・第1回 総論(軽犯罪法、刑事弁護)