軽犯罪法違反事件の弁護要領・第12回 軽犯罪法1条12号(軽犯罪法、刑事弁護)
2024年12月23日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は自宅でドーベルマンを飼っているのですが、昨日、家の扉を閉め忘れて出かけたところ、犬が外に出て騒ぎになったそうです。実際に人に噛みつくといったことは全くなかったのですが、警察官から軽犯罪法違反だといわれています。そうなのでしょうか。
A、ご相談者の行動については、軽犯罪法1条12号の危険動物解放等の罪が成立します。初回であれば、厳重注意処分や始末書で済む案件だと思います。
【解説】
本日は、軽犯罪法第1条第12号「人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした者」について解説します。
その趣旨は、【本号は公衆の生命・身体及びその飼養する家畜類を保護するための規定】(野木新一・中野次雄・植松正『註釈軽犯罪法』(良書普及会,1949年2月)50頁)とされているところです。
実際にこの条文がどれだけ活用されているかは不明です。条例で同様の規制をかけているところも多いようで、そちらが適用されることもあると思います。
軽犯罪法
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000039/
第一条左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
十二 人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした者
【参考文献】
伊藤榮樹原著・勝丸允啓改訂『軽犯罪法 新装第2版』(立花書房,2013年9月)120-121頁
【多くの都道府県あるいは市町村で制定されている動物の愛護及び管理に関する条例中には. しばしば,飼い犬をおりに入れ,又は係留しておかなかった行為を処罰の対象としているものがあるが.本号の行為が,同時に,それらの条例の規定にも触れることとなる場合には.おおむね両罪は,観念的競合の関係に立つものと解する。】
https://tachibanashobo.co.jp/products/detail/3110