軽犯罪法違反事件の弁護要領・第25回 軽犯罪法1条25号(軽犯罪法、刑事弁護)
2024年12月28日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は東京都内の一戸建てに住んでいる者です。趣味が庭いじりで、花壇を自作しています。新しい花を植えるにあたって花壇の土を取り替えることにしたのですが、大量の土を捨てるの画面倒になり、自宅に接している排水溝に流しました。すると、後日水詰まりが起きたようで、警察から近隣に聞き込みがあり、私が土を捨てたということを白状しました。廃棄物処理法違反だと軽犯罪法違反といったことが言われているのですが、どうすれば良いでしょうか。
A、軽犯罪法1条25号違反の成立が考えられますが、おそらく廃棄物処理法違反がメインになると思われます。廃棄物の量がどの程度かにもよりますが、罰金以上の刑になる可能性が高いと思います。
【解説】
本日は、軽犯罪法第1条第25号「川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者」について解説します。
その趣旨は、「水路の流通を妨げることは、溢水の危険につながり、飲料水の供給に支障を生じ、更に公衆衛生上の見地からも好ましくない。本号の罪は、このような見地から設けられたものである(ただし、中野・27頁は、本号を主として公衆衛生保持のための規定であるとする)。」(稲田輝明・木谷明『軽犯罪法』平野龍一ほか編『注解特別刑法7 風俗・軽犯罪法編〔第2版〕』(青林書院,1988年1月)116頁)とされているところです。
排水溝に流してしまえばいいと安易に考える気持ちはわかりますが、廃棄物については適切な処理をしないと思わぬ問題になることがあります。
軽犯罪法
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000039/
第一条左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十五 川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者
【参考文献】
伊藤榮樹原著・勝丸允啓改訂『軽犯罪法 新装第2版』(立花書房,2013年9月)177頁
【「流通を妨げるような行為」は,「流通を妨げる行為」とは異なり,社会通念からみて,通常流通を妨げることになるおそれがあると認められる性質の行為であれば足りる。
例えば,川に大きな物を投げ込む行為や,溝,下水道等が損壊するおそれのある行為などは,これに当たる。もとより,現実に流通が妨害されるに至ったことは必要でなく,また,行為者に流通を妨害するに至るであろうことの認識は必要でなく,客観的にみて「流通を妨げるような行為」と認められる具体的行為を行うことについての認識があれば足りる。】
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