軽犯罪法違反事件の弁護要領・第26回 軽犯罪法1条26号(軽犯罪法、刑事弁護)
2024年12月28日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は東京都内で暮らしている者です。小学校低学年の男の子の子どもがいます。先週の日曜日、子どもを公園で遊ばせていたのですが、子どもがトイレに行きたいと言い出してトイレを探したのですが、整備中ということで閉まっていました。小用の方だったので「その辺の植え込みで隠れてしてきなさい」といって、トイレを済ませて帰りました。ところが数日後、警察官が自宅にきて「軽犯罪法違反」といわれています。立ち小便が犯罪になるというのは知っていますが、子どものすることは犯罪にならないはずです。私は犯罪者になるのでしょうか。
A、軽犯罪法1条26号は「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」としており、本人がする以外に他人にさせた場合についても処罰の対象としています。そのため、ご相談の事例では軽犯罪法1条26号違反が成立します。
【解説】
本日は、軽犯罪法第1条第26号「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」について解説します。
その趣旨は、「公共の場所で、たんやっぱを吐き、大小便をすることは、風俗上好ましいことではないし、これによる伝染性疾患伝播のおそれがあることを考えると、公衆衛生上も危険な行為である。本号は、このような観点を考慮した規定である。(稲田輝明・木谷明『軽犯罪法』平野龍一ほか編『注解特別刑法7 風俗・軽犯罪法編〔第2版〕』(青林書院,1988年1月)118頁)とされているところです。
本件については、そのため軽犯罪法1条26号違反が成立します。もっとも、後掲参考文献のように違法性を欠くと主張する余地はあるでしょう。
軽犯罪法
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000039/
第一条左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十六 街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者
【参考文献】
法務省刑事局軽犯罪法研究会編著『軽犯罪法101問』(立花書房,1995年5月)167頁
【以上を前提とすれば、設問の「幼児に公園で大小便させた行為」は、本号の罪に該当することとなる。
もっとも、幼児がにわかに大小便を催し、附近に便所がなく、街路又は公園において大小便をさせるほかなかった場合には、違法性を欠くと認められることもあり得るであろう。】
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002434212