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薬院法律事務所

刑事弁護

迷惑行為防止条例における「多数の人」の意義


2018年10月25日読書メモ

迷惑行為防止条例では、『多数の人』といった文言が良く見られます。これを、複数名と同義と解釈する解説が見られます(東京都は被疑者含めて複数名とする)。

しかしこれは軽犯罪法の解釈では少数説です。今後争いになり得る話だと思います。

軽犯罪法

13 行列割込み等の罪(第13号)
公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動で迷惑をかけ,又は威勢を示して汽車,電車,乗合自動車,船舶その他の公共の乗物,演劇その他の催し若しくは割当物資の配給を待ち,若しくはこれらの乗物若しくは催しの切符を買い,若しくは割当物資の配給に関する証票を得るため待っている公衆の列に割り込み,若しくはその列を乱した者

法務省刑事局軽犯罪法研究会編著『軽犯罪法101問』(1995年)113頁

三「多数の人」とは、文理上、少なくとも三名以上であることを要するものと解される(伊藤一三一頁参照)

井坂博『実務のための軽犯罪法解説』(2018年)115頁

イ 「多数の人」とは, 5人以上を意味すると解する。 2人以上とする見解(大塚111頁), 2人では足りず,数人(伊藤・勝丸128頁)あるいは5, 6人以上(伊藤(卓))とする見解もあるが,特定人である友人など4名の面前でわいせつ行為をしたという公然わいせつの事案において, 「公然(不特定又は多数人)」性を否定した(特定かつ少数人と認定した)裁判例(静岡地裁沼津支判昭42. 6 .24下級刑集9 . 6 ・851)に照らせば,捜査官としては, 「多数人」を5名以上であると解して証拠の収集に当たることが肝要である。