逮捕回避のために、令状発付の可能性がある裁判所に「要望書」を送るという弁護活動
2026年01月07日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、ある卸売り会社に勤めている会社員ですが、商品の在庫を横流ししていたことがバレて、現在警察から取り調べを受けています。弁護士さんのアドバイスを受けて、出頭した上で黙秘しているのですが、逮捕されないかが心配です。田舎なので、逮捕されたら皆に知られてしまいます。弁護士さんから裁判所に対して逮捕しないように事前に交渉してもらうことはできませんでしょうか。
A、弁護士から裁判所に対して逮捕状を発付しないように「要望書」を出すという弁護手法を書いてある文献もあります。もっとも、効果があるかは不透明です。
【解説】
私は、在宅事件についてはできる限り逮捕を回避するということを狙っています。逮捕された場合には、報道されるリスクも飛躍的に高まり、回復不能な損害が生じることが多いからです。そのために色々な手法を試したことがあり、警察官から逮捕が予告された事件で、参考文献にある「要望書」の送付もしたことがあります。もっとも、裁判所からはクレームがあり、結局逮捕されました。今はこの手法は取らずに、警察宛に意見書を出すようにしています。
【参考文献】
大出良知ほか編『新版刑事弁護』(現代人文社,2009年10月)2頁
【5.逮捕状を発付しないように「要望書」を裁判所に送る
生活・仕事もきちんとしている上、取調べに応じており、逮捕の必要性はまったくないこと、逮捕の目的は身体拘束による自白獲得でしかないことを詳細に論じ、安易な逮捕状の発付をしないように要望する旨の書面を作り、これを捜査官が令状を請求する可能性のある裁判所全部へ送る。この「要望書」で逮捕状発付を食い止められなかったとしても、裁判官が逮捕の必要性について疎明をより多く求めるなどの効果はある。
なお、出頭要求時に逮捕状はすでに入手していて執行を控えているだけの場合も多い。「要望書」送付の時機を失しないように注意しなければならない。】
http://www.genjin.jp/book/b276343.html
鐘ケ江啓司「警察の報道発表回避(実名報道回避)のための弁護活動」(季刊刑事弁護121号,2025年1月)73-76頁を検証してもらいました


