50kmオーバーのスピード違反で、免許取消を回避したいという相談(道路交通法違反)
2024年01月30日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は福岡市に住む30代の会社員です。先日、夜間の一般道で50kmオーバーのスピード違反をしてしまい、累積点数があるので免許取消になると言われました。仕事があるのでなんとか免許取消を防ぎたいのですが、何か手はないでしょうか。
A、弁護士に依頼して意見聴取の手続において弁明を尽くすことで、処分の軽減ができる可能性はあります。具体的な事案が重要ですので、弁護士の面談相談を受けるべきです。
【解説】
交通事故・道路交通法違反の事件の相談者が気にすることは、刑事処罰より行政処分のことだったりします。「車が使えない」と仕事を続けられないということは良くあります。そのため私は行政処分についてもなるべく最新の情報を収集するようにしています。一般には速度超過については処分の軽減は困難なようですが、情状弁護を尽くすことで処分の軽減を図ることができることは考えられます。
【参考文献】
道路交通研究会「交通警察の基礎知識196 行政処分の迅速かつ確実な執行について」月刊交通2019年2月号(611号)82-86頁
84頁
【警察署等が認知した交通違反等について、その登録等に必要な関係書類(以下「関係書類」という。)を都道府県警察本部の行政処分担当課(以下「行政処分担当課」という。)が審査のうえ違反等登録を行います。処分基準該当点数になった者の処分量定が免許の取消し又は90 日以上の停止に該当する場合は、道路交通法(昭和35 年法律第105 号。以下「法」という。)第104 条の規定により、都道府県公安委員会が当該者に意見の聴取を行った上で、処分決定をします。】
髙山俊吉『入門交通行政処分への対処法』(現代人文社,2017年10月)
78頁
【指摘されている速度を出したのには無理のない理由があるとか致し方なかったという主張であれば、論議の俎上に一応は上ろう。だが、期待可能性がなかったという判断を獲得するのは容易でない。「自動車運転者が乗客の医師から病院に急行を命じられたことをもって、刑法第37条l項にいわゆる現に危難の切迫している状態にあったとは認められず、また、法定の最高速度の遵守を期待しえない場合とも認められない」という判決がある(昭和40年l0 月6日東京高裁)。筆者にも、出先で急病に陥った我が子を自宅に搬送していて起こした父医師の高速走行について基準どおりの処分をされた経験がある。
もっとも指摘されている速度は速度別点数の境界に近いことを指摘し、他の有利な事情とも相まって過大な危険評価を回避すべき事例に該当するなどと主張することは説得力のあるものになり得よう。】