load

薬院法律事務所

刑事弁護

酒気帯び運転による免許取消に、酒気帯びの「故意」は必要か


2019年01月14日読書メモ

結論 不要です。

酒気帯び運転について、刑罰を課すためには酒気帯び運転の故意が必要です。しかし、道路交通法上の免許取消処分については、酒気帯びの故意は必要ではないです。一方、酒酔い運転では故意が必要になります。

あまり知られていない事実ですので紹介いたします。

『月刊交通2018年2月号』

「最近の運転免許の行政処分に関する行政事件訴訟の裁判例から」

警察庁交通局運転免許課

山口貴史

平成28年1月25日東京高等裁判所が紹介されています。無免許運転での免許取り消しの処分に無免許運転の故意はいらないというものです。解説で酒気帯びも同様とありました。故意がないと弁解して、その弁解が認められてもせいぜい情状の問題になるでしょう。

『免許の行政処分においては、裁判例lのように、無免許運転には、故意に限られず過失によるものも含まれます。無免許運転以外にも、例えば、違反行為が酒気帯び運転(0.25以上)の場合、違反行為に付する基礎点数が道路交通法施行令別表第2に規定され、当該別表の備考二の2において、 「酒気帯び運転(0.25以上)」を「法第65条第1項の規定に違反する行為のうち身体に血液1ミリリットルにつき0.5ミリグラム以上又は呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上のアルコールを保有する状態で運転する行為をいう。」と定義されており、こうした規定から故意がある場合に限られないのは明らかです。
一方で、違反行為が酒酔い運転の場合、同施行令別表第2の備考二の126において、同法第65条第1項の規定に違反する行為ではなく、同法第117条の2第1号の罪に当たる行為とされており、さらに、違反行為が救護義務違反の場合、同施行令別表第2の備考二の128において、同法第117条の罪に当たる行為(自動車等の運転に関し行われたものに限る。) とされています。これらの場合、各条には過失を処罰する規定がないことから、同条の罪に当たる行為(故意) としての認定ができなければ、違反登録をすることはできません。』