青少年健全育成条例違反における、淫行該当性の判断要素(性犯罪、刑事弁護)
2020年03月12日刑事弁護
青少年健全育成条例違反における淫行該当性の判断要素として、警察官向けの本ではこういった記載があります。「真剣交際」を主張する場合には、これらの事情をきちんと訴えていくことになるでしょう。
少年非行問題研究会編『4訂版 わかりやすい少年警察活動』(東京法令出版,2023年5月)144頁
【「淫行」であることを立証するためには、「青少年の年齢の知情性」や「性行為の存在」はもちろんのこと、「被疑者の年齢や生活事情」、「被害少年の年齢や生活事情」、「両者の出会いのきっかけと交際の状況」、「性行為に至った経緯や性交渉の状況」、「性や男女の交際に対する価値観」等を明らかにする必要があろう。被疑者が妻子ある男性であっても、青少年との恋愛関係を主張して結局無罪になった例もあるので注意が必要である。】
https://www.tokyo-horei.co.jp/shop/goods/index.php?8694
金井翔「青少年保護育成条例違反事件について,みだらな性行為(淫行)の該当性が問題となった事例」捜査研究2018年11月号(816号)31-39頁
36頁
【不道徳,非常識であることと,真剣な交際関係にあったこととが,必ずしも両立しない関係にあるわけではない。また,そもそも,男女関係に関する価値観が多様化した現代において,婚姻を前提としないことが直ちに真剣な交際でないことを意味するものとも言い難い。
そして,本件の場合,Aが共通の勤務先でVと知り合い,相談相手になるなどしていくうちに親しくなって交際を開始したこと,交際開始後約1か月の期間を経てから初めて性行為に及び,その後,本件性行為に及んだことといった経緯や, Vが本件性行為後約2か月で18歳に達する年齢であったことが, 前記判決において消極要素として大きく評価された。
これが,例えば, Aがいわゆる出会い系サイトを通じてVと知り合ってから,間もなくして性行為に及んだ場合であったり, Vの年齢が低い場合等であれば,判断が異なっていた可能性もあったと思われる。
同種事犯の捜査公判の遂行に当たっては,被疑者と青少年の年齢差,青少年の年齢や心身の発育状態,被疑者と青少年が知り合ってから性行為に至るまでの期間や経緯そして,性行為時の状況等を多角的に検討することが重要であるが,本件を通じて,改めて多角的な検討の重要性を認識した。】
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