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薬院法律事務所

刑事弁護

須賀正行「元検察官のキャンパスノートNo.120-外事事件一医師法違反」捜査研究2023年11月号(878号)66頁


2024年01月23日刑事弁護

捜査研究の人気連載です。単行本にまとめられる分もあるのですが、そうとも限らないのでチェックしておくと有用です。とりわけ、特別法に関する最新の捜査実務はなかなかわからないところも多く、須賀先生の記事を読んで勉強することも多いです。今回の記事は医師法違反。外国人女性が闇医者を頼る心理の分析が興味深かったです。

 

70頁

【ところで、日本に滞在する外国人女性が美容整形を受けるとき、正規な医師ではなく、医師の資格を有しない者、つまりヤミ医者が多く利用されています。
なぜ、来日外国人女性はヤミ医者を活用するのでしょうか。その理由として考えられることは、不法滞在者であること、言葉が通じなかったりするほか実費負担となるとかなりの高額になり、正規な医師を訪ねた場合、不審に思われ警察や入管に通報されるのではないかなどの不安があることが挙げられます。
同国人であれば言葉の不自由はないこと、日本国内の施術代の相場に比べると費用が格安である等の理由が考えられます。施術する側も料金を安くすれば、それが口コミで広がりフェイスブックなどのSNSを活用し母国語で宣伝すれば顧客の確保が容易になるなどのメリットがあることも考えられます。
施術場所が自宅マンションやアパートなどの一室であるため、

・プライバシーが守られる(警察や入管に通報される心配がないことによる安心感)。
・交渉次第で料金を安くできる。
・治療の時に母国の化粧品を安く手に入れられる。
・母国の医師免許に(偽造であっても)安心感をもつ。
、母国語でしっかりとカウンセリングをしてくれる。
、携帯電話に連絡すればいつでも関係者と連絡が取れ、無料で相談ができる。
これらの理由から自然とヤミ医者を訪ねることになります。そして、技術がうまければそれが口コミなどで宣伝され、そのヤミ医者の商売繁盛にもつながっています。
ところで、ヤミ医者で二重まぶた等の美容整形をしている者には傷害罪の適用は考えられないかという疑問が出てきます。】

捜査研究 ❯❯ 2023年11月号

https://www.tokyo-horei.co.jp/magazine/sousakenkyu/202311/