犯罪収益移転防止法に基づく疑わしい取引に関する情報の捜査活用について(刑事弁護)
2022年06月07日刑事弁護
犯罪収益移転防止法に基づく疑わしい取引に関する情報の捜査活用と、秘匿の話。
以前から警察官専売図書では書かれていたことですが、市販の書籍でも言及されるようになりました。いわゆる疑わしい取引の捜査活用の話です。
疑取情報は、警察庁の犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)に集約されて、1件1件が氏名、住所、電話番号、口座番号等で紐付けされているため、疑取情報を照会すると、システムが自動的に、同一のキーワードを含んだ疑取情報を関連情報として提示するようになっています(犯罪歴などの警察保有情報も紐付けされています)(「KOSUZO 2019年7月号付録 KOSUZO教旬ガイドブック2019」94頁~)。捜査関係事項照会などをしなくても、被疑者や被疑者の親族・関係者等について簡単に様々な情報を集められるので多いに活用されているのですが、捜査書類にはそのことを記載しないことが徹底されているので、弁護人がその事実を知ることはありません。多分これが争われた事例もないと思います。
警察公論2022年5月号付録実務の基本セミナー刑事編 91頁
【4疑取情報の活用
○疑取情報を活用することで、「犯罪収益に着目した捜査」や「合理的・効率的な捜査」が可能となる。
○膨大な個人情報が含まれているので、取扱いに注意する。
○事件捜査に疑取情報を活用したことを捜査書類に記載しない。
○報道対応において、疑取情報を活用したことは明らかにしない。】
警察庁、「疑わしい取引」情報活用した摘発は2019年過去最多
https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/news/1239443.html
警察庁は提供された疑わしい取引の届け出のうち、8676件について分析し、犯罪捜査等を行う捜査機関へ情報提供した。それらを含む分析情報は2019年中に都道府県警察の捜査等で30万7786件が活用され、過去最多となる1102件の事件で検挙に至っている。