ハラスメント事件で、本人の代理人として配偶者や親が会社に来た場合の対応(企業法務)
2021年08月11日労働事件(企業法務)
時折ある話ですが、基本的には本人以外には対応しないということになります。
原則の確認になりますが、紛争について親族に代理人を依頼することは可能です。無償であれば弁護士法にも違反しません。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC1000000205
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
しかし、そもそも使用者は、面談に応じる義務はありません。これは、本人からの申し入れであったとしても同様です。当たり前のことなのですが、意外に忘れられがちなことです。
なので、拒否する、が原則的対応になります。
※参考<石井妙子ほか『新版 セクハラ・DVの法律相談』(青林書院,2012年8月)118頁>
【セクハラの被害者本人ではなく,両親,夫,婚約者,恋人等からの苦情申出(どなりこんでくる例も)があります。本人以外の者とは対応しないという方針で問題ないでしょうか。
A
Iセクハラは原則として被害者本人の問題であり, またセクハラの有無・内容は被害者のプライバシーに属するものです。 したがって,たとえ両親や配偶者に対してであっても本人以外にその内容を説明したり, あるいは交渉したりするのは不適当であり,本人以外の者とは対応しないという方針を原則とすべきでしょう。
例外的に,本人が未成年者である場合に親権者である親が申し入れてきた場合や,本人から正式に委任された弁護士が代理人として申し入れてきた場合,本人から相談を受けて労働組合が団体交渉を申し入れた場合等には,本人以外からの申入れに対しても対応することが望ましいケースもあり得ますが(団体交渉については「望ましい」にとどまらず団交応諾義務があります), これはあくまでも例外であると考えてください。
本人が両親や夫などの同席を強く求めた場合は難問ですが, このような場合でも最初のヒアリングは本人とだけ面談することが望ましいと思われます。】