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薬院法律事務所

企業法務

捜査機関のリモートアクセスに同意した場合に事業者に責任が生じるか


2021年08月23日読書メモ

ビジネス法務の2019年10月号に板倉陽一郎先生の「海外リモートアクセスをめぐる諸問題」という論考がありました。捜査機関のリモートアクセスに同意した場合に事業者に責任が生じるかという問題意識を述べられています。
実際、捜査機関としてはリモートアクセス令状では不十分なことから、ユーザーから同意を取り付けてアクセスしようという流れになっています。今後こういったトラブルが生じてくるでしょう。

伊丹俊彦監修『適法・違法捜査ハンドブック』(立花書房,2017年5月)23頁

【リモート差押えが可能となる捜索差押許可状の発付を受けていた場合であっても,令状を執行し,対象となるデータが海外のサーバに保存されていることが判明し,ユーザから合法的かつ任意の同意を得られないケースでは,差し押さえるべきPCを操作してインターネットを介して海外のサーバに接続し,データをダウンロードする作業は違法となるおそれがあるため,差し控えるべきである。違法の問題を回避するためには,捜査対象となったPCユーザから,捜査官が当該サーバにアクセスしてデータを取得することを自らの意思で同意するよう,説得を試みるほかないと思われる。】