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薬院法律事務所

刑事弁護

飲酒運転中、警察に呼び止められたので、停車してその場で酒を飲んだという相談(刑事弁護)


2021年09月01日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、福岡市に住む40代の自営業者です。酒を飲むことがとにかく好きで、毎日晩酌をしています。今日、自宅で飲んでいたところ、客先から電話があり、私が出向かないといけなくなりました。そこで、自家用車を運転したのですが、途中で警察に呼び止められてしまいました。咄嗟に、昔読んだ漫画を思い出して停車した後に買っていた缶チューハイを飲んだのですが、警察に逮捕されてしまいました。飲酒運転をした証拠がないと思うのですが、なんででしょうか。

A、飲酒検知拒否罪での現行犯逮捕だと考えられます。酒気帯び運転の立証のための証拠も確保されていると思いますので、自白をして早急に釈放を求めた方が良いと思います。

 

【解説】

飲酒運転を現認されたものが、警察官に車を止められた時点でカップ酒を飲むという行動をとることがあります。これを「重ね飲み」といいます。呼気検査で酒気帯びとなっても、その時に飲んだ酒のせいだと言い逃れようというものです。当然ながら、今ではこの手法は通じません。飲酒後間もない時間に呼気検査に応じたら、うがいをさせた上で呼気検査を実施し(飲酒物の領置や裏付け捜査、被疑者及び同乗者の取調べも行います)、検査を拒否した場合は飲酒検知拒否の被疑者として現行犯逮捕して、強制採血令状を取得するようです。漫画などで良く見かけるやり方ですが、マイナスにしかならないのでお勧めできません。

道路交通法
https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105#Mp-Ch_4-Se_1-At_67
(危険防止の措置)
第六十七条 3車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。
第百十八条の二 第六十七条(危険防止の措置)第三項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、三月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
【参考文献】
Top2023年3月号付録『論文キーポイント集2023』(教育システム,2023年2月)506頁
【A警察署の交通課長は、B交番のC巡査部長から「交番勤務員3名で飲酒検問中、停止した車両の運転者甲から酒臭がするので甲に対し飲酒検知をしようとしたところ、甲はいきなりカップ酒を取り出し、その場で飲んでしまいました。どのように措置すべきですか」との連絡を受けた。交通課長としての対応について述べなさい。】
【(2)検査を拒否した場合
ア飲酒検知拒否の被疑者として現行犯逮捕の上、身体検査令状及び鑑定処分許可状を得て指定医師の下で被疑者の身体から採血し、飲酒運転の立証を図る。】