文献紹介 警察公論72巻5号付録「論文徹底分析2017 面接対策付き!」
2018年07月20日刑事弁護
警察公論72巻5号付録「論文徹底分析2017 面接対策付き!」2018年版では面接対策がなくなっています。
興味深い内容でしたので、概要を紹介します。私は警察官と処遇について交渉することがしばしばありますが、そのためには「警察官がどう考えるのか」を把握しておくことが重要だと思っています。弁護士には弁護士の正義があるように、警察には警察の正義があります。それぞれの立場の違いを理解しておくことは、交渉をするにあたって大事なことだと考えています。
「従来はSA試験→論文試験とたどり着けば、余程勤務評定や普段の素行が悪い者以外は最終的に合格していた。しかし、最近では半数近くが不合格になることもある。SA試験や論文試験は勤務後の勉強時間に左右され、言い方は悪いが勤務場所・勤務内容に左右される、そこでなるべく多くを面接試験まで残して選別する傾向にある。
多数の受験者がいるので、面接官は日替わりとしなければならないが、客観性を担保するためどの県警でも面接試験のひな形的な質問事項が用意されている。専門的質問より、業務管理・人事管理的な質問となってくる。
入室の際は、基本の姿勢、敬礼の仕方、歩き方、方向転換などが警察礼式にのっとり節度をもっと元気よくなされているかが大きなポイントとなる。
県警本部長の考え方を知っておくことが重要。着任時のあいさつ、署長会議等における「本部長訓示要旨」を確認しておく必要がある。
前年における県警の各部門の重要な数字、傾向についてはどの部門であっても幹部なら知っておくべき。面接直前の旬な話題をフォローしておく。最近は若手警察官の特性を理解した上でのリカバリー教養、非違事案防止関連の質問が多い。
仕事改革(業務の効率化)、ワークライフバランスの実現、育児・介護関連、高齢運転者による悲惨な交通事故、サイバー犯罪対策、取調の録音・録画、通信傍受の合理化、効率化等は知っておく必要がある。
上位階級ほど「いかに部下に仕事をさせるか」を問われる。例えば、部下を知るためにはどうするか、という質問に「会話をする」は誰でも答えられる。何故会話が必要なのかと質問すると「部下を知るためです」と答えるものがいるが、回答になっていない。上司が心から信頼されるために会話をするのである。
若手警察官の全般的・一般的特徴。①しかられることに慣れていない→愛情をもって叱る、褒める②帰属意識が希薄→上司が日頃から声かけをして存在意識を植え付ける。
平成28年の警察の業務上非違事案として重視されているもの,①公文書偽造,②不正照会・情報漏洩,③ハラスメント、私的な事案は飲酒がらみ、盗撮事案。若手警察官はわいせつ事案、失踪事案に注意。」
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