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薬院法律事務所

刑事弁護

「実例捜査セミナー 酒気帯び運転の認識が問題となった事例」前東京地方検察庁検事 村上佐予ほか 捜査研究2017年5月号


2018年07月20日刑事弁護

捜査研究2017年5月号の記事の感想です。

「誌上講演 警察組織管理者に求められるもの(第12回)」元警察大学校長 田村正博

「検察との関係の一般論。検察には個々の事件の意義や影響をきちんと伝えるべき。家庭内の事件の再犯のおそれに関する情報や、暴力団情勢など。補充捜査については、業務の多忙さ等をきちんと伝える。不起訴だからといって警察が間違っていたとは思わないこと。
報道機関とは、かつての非正規なルートがなくなってきた。報道機関とは、協力、利用、防御の三つの種別がある。逮捕や重大事案の素材の提供については、報道機関を平等に扱うほか、公益性、真実性の責任を負う。被害者情報は特別の公益性や、被害者の希望がない場合には提供しない。提供しないことで責任を問われるのは基本的にない。利用は公開捜査や、振り込め詐欺の対処方策、警察のイメージアップ等。タイミングをはかり、報道しやすい形で素材を提供する。防御は職員の非違事案等。正確な事実を遅れることなく発表し、警察が隠蔽したという印象を与えないようにすることが大事。」

→逮捕された場合に報道されるかどうかは、警察とマスコミの胸先三寸なのですよね・・・

「実例捜査セミナー 酒気帯び運転の認識が問題となった事例」前東京地方検察庁検事 村上佐予

「被告人が物損事故。呼気検査では0.26ミリグラム。捜査段階では酒気帯びを認めていたが、公判段階では「前日に飲んだ酒が体内に残っていたかもしれないが、自分としては酒が残っている感覚はなかった」と否認。捜査段階の供述は警察の誘導「数値が出ているからとおらない」というものと主張した。
運転は午前6時30分ころからで、逮捕は午前7時30分頃。前日の午後9時から12時にかけて、350ミリリットルの缶ビール2缶と、275ミリリットルのカクテル(度数4%)4本程度をのみ就寝。酒気帯び・酒酔い鑑識カードには強い酒臭のみ記載されていた。同乗者、及び事故の相手方は酒気帯びと認識せず。本来は、飲酒量の裏付けのため空き缶の回収、携帯電話の解析、同居親族の取調をすべきであった。
公判では警察官が不当な誘導をしていないと証言、飲酒検知時のアルコール濃度、普段酒を飲み慣れていない者についてのアルコール保有の認識の差について、警視庁訟務課の協力を得てH医師にたどり着いた。飲酒に飲み慣れていない人がアルコール保有の認識を強く持つことは、ファンクショナルMRIという脳内の機能を調べる検査でも明らかと証言。
普段から酒を良く飲む人で、犯行前日もいつもと同じように酒を飲み、体内からアルコールが抜けたと思って運転した、と言われたら立証が困難であった。」

→酒に強くて飲み慣れている人は、脳の神経細胞がアルコールに慣れていて、感受性が鈍くなる、というのは弁護側で逆に使えそうな話です。

http://www.tokyo-horei.co.jp/magazine/sousakenkyu/201705/