文献紹介 犯罪被害者等の二次的被害防止マニュアル(犯罪被害者、刑事弁護)
2023年02月27日刑事弁護
犯罪被害者等の二次的被害防止マニュアルについて
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/nijitekihigaiboushimanual.html
福岡県のホームページにありました。刑事弁護人が示談交渉をする際にも参考になる内容です。
被害者の一般的な心理を知らずに刑事弁護や示談交渉をするのは危険です。一部抜粋します。
【・ 犯罪被害とは、被害者にとって突然に理不尽に襲い掛かる暴力です。そのような経験は被害者から「自分の人生は自分自身でコントロールできる」という自信を奪ってしまいます。特に子どもや障がい者、高齢者等が被害にあった場合、本人の意向が置き去りになってしまい、周囲の意向を押し付けてしまうこともあります。支援者が被害者のコントロール感を奪っていないか、支援者の意向を被害者に押し付けていないか、支援者と被害者との間に上下関係が生じたり支配関係に陥ったりしていないかを振り返ることが必要です。
・ 社会には「男性は弱音を吐いてはいけない」「家族は助け合うのが当たり前」などの思い込みや固定観念が数多くあります。そうした先入観が「被害者はこうに違いない」「本当の被害者ならこうあるはず」「被害者はこうするべき」といった決めつけや押しつけとなり、被害者を追いつめる二次的被害につながります。二次的被害を防ぐためには、こうした自分の中にある先入観や偏見に気づくことが重要です。
・ 担当者として一人で抱え込まずに、チームで対応することで、いろいろな視点からの考え方や意見を取り入れたり、支援を客観的に振り返ったりすることができ、より良い支援の提供と二次的被害の防止に役立ちます。
・ 犯罪被害者等と接する際には、二次的被害を与える可能性があることを常に意識しておくことが大事です。もし「被害者を傷付けてしまったかも」と感じたときには、率直に謝ることも必要です。身近な人や支援者の誠実な態度は、被害者が人との安心できるつながりを取り戻すための大きな支えになります。
・ 「話してくれてありがとう」「信じます」…信頼して話してくれたことに感謝し、労う。気持ちを否定せず受け止める。
・ 「あなたは一人ではない」…伴走し支援していくことを伝える。
・ 無理に沈黙を埋めようとしない。
・ 本人のペースを尊重する。
・ 被害者が「自分のことは自分で決める」力を取り戻せるように関わる】