偽ブランド品販売の捜査要領(商標法違反)
2023年05月24日刑事弁護
最近、個人の偽ブランド品販売が商標法違反で摘発されたといったニュースを見ます。。
偽ブランド品販売については「偽ブランド品」と明示していても商標法違反になります。また、不正競争防止法の「混同惹起行為」、「著名表示冒用行為」、「商品形態模倣行為」、 原産地の偽装表示等に係る「誤認惹起行為」となることもありますし、刑法の詐欺罪が成立することもあります。
警察は、サイバーパトロールを実施していますので、思わぬところで発覚して、いきなり自宅に家宅捜索がなされる、といったパターンもあり得ます。
偽ブランド品は、買わない、持たない、売らない、ことが大事です。
捜査研究2016年1月号(780号)
生活経済事犯研究会「生活経済事犯に関する捜査上のポイント 第1回」
【(1) 想定事例及び判断
衣料品販売業者Aは, 人気のある国内衣料品メーカーB社の登録商標である「B」マークに類似するマークを付した衣類(「B」の指定商品)を大量に海外から輸入し, インターネットのショッピングサイトで「B」マークが付された商品画像を掲載して広告し,販売した。
本事例では,衣料品販売業者Aは自ら製造行為は行っていないが, 登録商標に類似したマークを付した商品を輸入した上で,広告,販売していることから,商標権を侵害する行為とみなされる類似商標の広告による使用及び類似商標を付した商品の讓渡(販売)による使用の各違反が成立する可能性が高い。
(2) 適用法令の概要
商標権のみなす侵害行為(商標法第37条)
次に掲げる行為は,商標権を侵害する行為とみなされる。指定商品又は指定役務についての登録商標に類似する商標の使用
. 指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用
. 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であって,その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡, 引渡し又は輸出のために所持する行為
この規定に違反したときは, 5年以下の懲役又は500万円以下の罰金(併科あり)に処せられる(商標法78条の2)。】
【(3) 立証すべき事項
○対象商品が正規品でないこと
→いわゆるブランド品の中には,並行輸入品, アウトレット品など,通常の販売ルート以外のルートで販売される商品も存在することから,例えば, オークションで偽ブランド品が送られてきたなど, 商標権を有する権利者以外の者からの通報で認知した場合には,権利者に対して鑑定を依頼し,正規品でないことを確認する。
○商品に付されたマークが,登録商標に類似するものであること
→捜査関係事項照会書により特許庁に照会し,登録商標と同一であるか,類似の商標であるかについて判断を求める。
○被疑者が、偽造品であることを認識していること
→この種事案では, 「本物であると思っていた。」などの抗弁がなされることが多いことから,
・正規品の販売額と仕入価格.販売価格の比較,仕入業者とのやり取り
・権利者やサイト管理者等からの指導・警告状況,税関による輸入差止や警告履歴など,知惰性を裏付ける客観的証拠の収集を図る。】