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薬院法律事務所

刑事弁護

防犯カメラに私と似た人物が映っており、警察に疑われているという相談(窃盗、刑事弁護)


2024年01月29日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は福岡市に住む40代の会社員です。先日、警察が来て、最近付近で発生した窃盗事件について、私と背格好と顔が似ている人が防犯カメラに映っていたと言われています。まったくの濡れ衣なので晴らしたいのですが、警察は私が犯人と決めつけて取調べをしてきます。どうすればいいでしょうか。

A、まずは弁護士に相談することです。防犯カメラの映像の内容がわかりませんが、例えばGoogleマップの位置情報の提供をすることで嫌疑が晴れるといった場合もあります。そういった具体的なアリバイが提示できない場合には、弁護士から意見書を出すことも考えられるでしょう。

 

【解説】

近時は、防犯カメラが捜査の主役となっています。とはいえ、防犯カメラの映像は不鮮明なものもあり、これだけで決め手になる事件ばかりではないです。そういった場合は、捜査機関は「自白」を取ろうと厳しい取調べをしてくることが考えられます。そういった場合は、弁護人をつけてしっかりと反論をしていくことが有用なこともあると考えています。私の場合は、「意見書」を出すこともしばしばあります。

当たり前のことなのですが、意見書の説得力は、抽象論からは生まれません。具体的な事実の指摘、証拠の添付、主張を裏付ける文献の添付といった地道な作業から生まれます。私が大量の法律書を購入し、法律雑誌の定期購読をしているのもこのためで、捜査機関や裁判所が見落としている文献がないように示すとともに、意見が対立しているときは何故弁護人の主張する意見が正しいのかを示すようにしています。手間がかかる作業ですが、それだけの効果はあると実感しています。下記文献は、防犯カメラと顔画像鑑定について、裁判例を踏まえた評釈です。目新しい議論がなされているわけではないですが、顔画像鑑定について基本的な知識を解説する文献として、意見書などに添付する使い方が考えられます。

 

【参考文献】

木村誠宏「実務刑事 判例評釈(case 331)福岡高判令4.3.29 防犯カメラに撮影された犯人映像と被告人との異同識別に関する顔貌鑑定の証拠能力を認め、その鑑定等に基づいて被告人の犯人性を認めた事例」警察公論2023年3月号81-95頁

95頁

【特に顔貌鑑定については、事案ごとに用いられる鑑定手法が異なることが想定され、鑑定資料の質、特徴の一致の内容(個数、固有性)等も変わるものであるため、捜査機関において鑑定の信用性について丁寧に検討する必要が高いものと考える。
現に本稿を執筆するに当たり、本稿に掲載した以外の裁判例をいくつか検討したが、筆者が見る限り、裁判所は顔貌鑑定の信用性の判断についてば慎重な検討をしているものと感じられたところである。】

 

以下は、私が弁護人として獲得した無罪判決です。顔画像鑑定に関する重要裁判例となっています。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89060

裁判年月日
令和元年11月14日

裁判所名・部
福岡高等裁判所

結果
破棄自判

 

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