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薬院法律事務所

刑事弁護

河上和雄・中山善房・古田佑紀・原田國男・河村博・渡辺咲子 編『大コンメンタール刑事訴訟法 第2版 第11巻 刑事訴訟特別法』


2018年07月20日読書メモ

平成29年8月1日までの法改正に対応。
平成29年3月9日までの裁判例が収録されています。

裁判員法についてはあまり参照することがないのですが、罰則のところについては気になりますね。106条以下です。

裁判員に対し、「あんたら裁判員やろ」「〇は同級生なんよ」「あんたらの顔は覚えとるけね」「〇は同級生やから、よろしくね」などと話しかけることは、106条1項の請託にあたるとともに、威迫(107条)にあたる(福岡地裁平成29年1月6日判例集未搭載)。一般論として、テレビや新聞記事での裁判の結果についての要望は、不特定多数の人に対するものであるから、特に具体的な裁判員や補充裁判員に対してなされたものであると認められない場合には、請託にあたらない、とされています。その上で、公道上における宣伝活動のような外形を有していても、具体的な事情によっては、裁判員等に対する請託と認められる場合もあるのは当然である、とされています。

108条6項は、裁判員が判決について事実認定や量刑への不服を外部に述べることも禁止しています。典型例は「あの判決は誤りであり、本当は無罪だと思う。」と述べることとされ、有罪判決への支持であっても、判決では何ら言及されていない根拠や論理によって、判決そのものとは別個にその正当性を述べるような行為は、違反するとされています。

109条に裁判員の氏名等漏示罪が規定されていますが、弁護人が、裁判員候補者が事件関係者でないかどうかを確認するために、被告人や親族にその氏名を伝えることは正当な理由があるとされています。それはそうでしょう。

http://www.seirin.co.jp/book/01724.html