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薬院法律事務所

企業法務

【解決事例】従業員が多額の横領行為をしていたので、刑務所に送って欲しいという相談


2024年08月15日企業法務

※解決事例は実際の取扱事例をモデルにしていますが、特定を避けるため、複数の事例を組み合わせる等した上で、大幅に内容を変更しています。

 

【相談】

 

Q、私は会社経営者です。福岡支店を任せていた支店長が、売上げを誤魔化して多額の横領をしていたことが発覚しました。自白はしているのですが、お金がないということで返済は期待できないようです。ただ、このままではいけないので刑事処分を受けさせたいのですが、横領事件の刑事告訴はどうすれば良いのでしょうか。

A、経理の資料をしっかり揃えた上で、警察に「事前相談」をしながら進めます。捜査の進んだ段階で正式な刑事告訴となりますが、併せて民事の損害賠償請求訴訟もしておくべきでしょう。

 

【解説】

 

私が以前取り扱った事例をモデルにしています。横領事件は、警察がなかなか告訴を受理しようとしません。また、告訴受理後も被害者の取調べが何度も行われるなど手間のかかるものです。しかし、従業員の不正行為を放置することは、他の社員の士気にも関わることです。弁護士が告訴代理人として就くことで、警察が真剣に動くことが期待できます。告訴のコツは、告訴人側で出来る限りの調査をしておくことです。刑事弁護人としての経験を踏まえて、あるべき捜査、あるべき捜査に必要な資料を検討することが、警察に告訴を受理させることに繋がります。そして、業務上横領罪の刑罰は金額がもっとも重要になるので、なるべく多くの金額を起訴させるようにすることが大事です。

モデルケースでは、刑事告訴をすることと併せて、民事の損害賠償請求訴訟も提起して、勝訴判決を得ました。民事訴訟の提起は賠償金の回収という意味もありますが、従業員の横領額が起訴された金額に留まらない膨大なものであることを示すことで、量刑を重くする意味もあります。従業員は実刑判決を受けて服役することになりました。

 

刑法

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_36

(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

 

※参考記事

弁護士が刑事告訴・告発代理人になる意味について