【解決事例】会社の社長から、いきなりキスをされたので慰謝料請求をしたいという相談(不同意わいせつ)
2024年08月15日労働事件(企業法務)
※解決事例は実際の取扱事例をモデルにしていますが、特定を避けるため、複数の事例を組み合わせる等した上で、大幅に内容を変更しています。
【相談】
Q、私は短大卒業後、親類の紹介で地元の建設会社に事務員として入社しました。みなさん優しい方だと思っていたのですが、入社三ヶ月後、社長に誘われてバーに連れていかれました。頑張っていると褒めてもらって良かったと思っていたのですが、店を出たところでいきなりキスをしてきて、舌まで口の中にいれてきました。社長は50代の人で、私をそんな目で見ているだなんてまったく思っていませんでしたし、今でも混乱しています。警察に届けた方が良いのではないかと思うのですが、親類に申し訳が立たない気持ちもあり、混乱しています。どうすれば良いのでしょうか。
A、不同意わいせつ罪が成立しますので、基本的には警察に相談すべきです。ただ、刑事事件にしたくないという場合は、弁護士が介入して証拠保全と慰謝料請求をすることが考えられます。
【解説】
以前、私が被害者側で取り扱った事例をモデルにしています。私は、考えられる証拠がどういったものかを想定して、その確保をしました。具体的には防犯カメラの証拠保全をしています。強制わいせつ(当時)事件として告訴することも考えられる事案でしたが、依頼者の意向があり、慰謝料を請求しました。その結果、請求額より減額したものの、相場を踏まえた慰謝料が得られました。
※刑法
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
【弁護士からのコメント】
不同意わいせつ事案の被害者代理人には難しさがあります。刑事事件にすれば証拠の確保もなされ、被害弁償もなされる可能性は高いといえます。しかし、被害者としては、刑事事件にはしたくないという思いがあることがありますし、刑事事件にしたことで却って加害者が否認してくる可能性もあります。今回の事件では、加害者の立場を考えてまずは本人限定受取郵便で慰謝料請求をしました。加害者も刑事事件や民事訴訟になったときのリスクを考えたのか、支払に応じてきて1月以内に解決しました。