文献紹介 林眞琴・村木厚子・堀田力「刑余者等の地域社会復帰支援 刑事政策と社会福祉と地域社会をつなぐ!(後編)」刑政 134巻3号(2023年3月号)62-74頁
2024年09月12日刑事弁護
林眞琴・村木厚子・堀田力「刑余者等の地域社会復帰支援 刑事政策と社会福祉と地域社会をつなぐ!(後編)」刑政 134巻3号(2023年3月号)62-74頁を読んでいたところ、林眞琴検事総長(当時)がとても重要な指摘をしていましたので紹介します。弁護人も、検察官との処分交渉にあたっては、この記載を十分意識して交渉をすべきでしょう。
【堀田 ここ20年ほどで社会復帰の仕組みは大きく進歩しましたが、今国会に法案が出された拘禁刑一本化は、処遇として大変な進歩ですよね。100年間の懲役刑をやめるのだからすごい改革です。これで大きな宿題を果たされたことになると思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
林 法務・検察の中で、これを宿題と思っていたのは私だけだと思います(笑)。私は、これがすごく大きな法改正だと思っているんです。刑事司法は再犯防止を目指し、福祉は福祉でやると先に言いましたけれども、本当のところを言うと、例えば「獄窓記」が出た頃の時点に遡ると、刑事司法は再犯防止すら目的としていなかったのです。
(略)
しかし、今回、そこの齟齬を埋められることになって、初めて刑法の条文の中に「改善更生」という目的が入ったことは非常に大きいです。刑法というのは刑事政策の根本哲学ですから、それが変わることによって初めて、矯正、そして検察においても改善更生、再犯防止が目的であると、ようやく法律で決められたわけです。】
令和4年6月17日 刑法等の一部を改正する法律