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薬院法律事務所

犯罪被害者

不起訴の理由が知りたいけど、検察官が答えてくれないという相談(盗撮、窃盗、交通事故等)


2024年09月15日窃盗(犯罪被害者)

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、福岡市内に住む20代の会社員です。先日、会社内のロッカーから財布を盗まれるという窃盗被害を受けたので、加害者を刑事告訴しました。財布がなくなった時間帯からしても、盗んだのは彼しかいないと思っています。ですが、検察庁からは不起訴処分通知書という書類が送られてきただけで、電話で問い合わせても「嫌疑不十分」としか回答してくれません。検察審査会に審査申し立てをしようと思っているのですが、どうすればいいでしょうか。

 

A、弁護士の面談相談を受けて、不起訴理由について推測してもらうといいでしょう。検察官に回答することは強要できませんが、弁護士に事案を分析してもらうことは審査申し立てにあたっても有用と思われます。

 

【解説】

 

刑事訴訟法261条は告訴、告発、又は請求のあった事件について公訴を提起しない処分をした場合は、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに理由を告げないといけないとされています。もっとも、その「理由」は裁定主文で足りるとされていますので、その裁定にいたった理由の説明はなされないこともあります。検察官の立場からは、理由の説明が出来る場合もあるし、出来ない場合もあります。47条により不起訴記録が非公開とされている趣旨や、被疑者その他関係者の名誉・プライバシーの保護等から出来ない場合もあるでしょう。また、出来るとしても説明しないことが違法というわけではないです。検察官の裁量です。

ただ、弁護士が事情を訊けば、どのあたりの立証に難があったのかという「あたり」をつけられる場合があります。その「あたり」を基に審査申し立てをすることが考えられますし、あるいは弁護士会照会などで証拠を入手できる場合もあるでしょう。弁護士の面談相談をお勧めします。

 

刑事訴訟法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131

第二百六十一条 検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について公訴を提起しない処分をした場合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。

 

【参考文献】

 

伊丹俊彦・合田悦三『逐条実務刑事訴訟法』(立花書房,2018年11月)564頁

【告訴人等による請求の方法には制限はなく,口頭でも構わない。検察官による理由の告知の方法にも法令上の制限はない。実務上,書面で行う場合には「不起訴処分理由告知書」という一定の様式が用いられている。

検察官が告知しなければならない理由としては, 「起訴猶予」, 「嫌疑不十分」等の不起訴処分の裁定主文を告知すれば足りると解されている。もっとも,検察官が,本条による理由の告知のほかに,個別具体的な事案に応じて, 47条により不起訴記録が非公開とされている趣旨や,被疑者その他関係者の名誉・プライバシーの保護等に配慮した上で,不起訴処分の理由について,更に詳細な説明をすることは禁じられていない。】