防犯カメラの映像から、後日万引き犯人として逮捕されるかという相談(万引き、盗撮、痴漢、刑事弁護)
2024年09月19日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡市に住む20代の独身女性です。上司が理不尽な人でストレスの多い生活をしています。ある時、閉店間際のスーパーで衝動的にお惣菜の万引きをしてしまいました。自分でもなんでそんなことをしたのかわかりません。その場では何も言われなかったのですが、防犯カメラから特定されて逮捕されるのではないかと不安になっています。どうすれば良いでしょうか。
A、特定される可能性はあります。弁護士の面談相談を受けて自首についても検討すべきでしょう。
【解説】
防犯カメラにはっきりと犯行映像が映っている場合は、特定される可能性もありますし、前科等の状況もありますが、逮捕される可能性もあります。これは、盗撮事件でも同様です。そのため、ご不安がある場合は弁護士の面談相談を受けるべきでしょう。
また、映っていないから逮捕などはない、とはいうこともありません。総合判断です。例えば、下記参考判例の場合、盗んだ部分は映っていませんが、最高裁で破棄されるまで有罪でした。
【参考判例】
最判平成29年3月10日
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86587
判示事項 置き忘れられた現金在中の封筒を窃取したとされる事件について,封筒内に現金が在中していたとの事実を動かし難い前提として被告人以外には現金を抜き取る機会のあった者がいなかったことを理由に被告人による窃取を認定した第1審判決及び原判決の判断が論理則,経験則等に照らして不合理で是認できないとされた事例
【参考文献】
守下 実(東京地裁部総括判事)「防犯カメラ画像が証拠となる犯罪事実の認定について」警察学論集71巻41号(2018年4月)
21頁
【犯人が現行犯逮捕されず、防犯ビデオ画像の分析等により、被告人が犯人である疑いが生じ、後から逮捕されたような場合は、防犯ビデオ画像の証拠としての重要性は極めて高くなる。この場合、防犯ビデオ画像に、犯人が被害品を窃取するところ、例えば、棚から商品を手に取り、それを所持していたバッグに入れるといった場面が写っていれば、事件性についての直接証拠となる。しかし、棚や体の陰になるなどして肝心の窃取行為の場面が写っていなかったり、画像が不鮮明なため窃取行為であるとはっきり判別できなかったりしたときは、間接証拠の一つとしかならず、他の証拠と併せての認定が必要となる。この場合、重要なのは、間接証拠としての防犯カメラ画像からどこまでのことがいえるかという推認力を見誤らないようにすることであり、特に、被害品とされるものが発見されていないときは、在庫確認といった他の証拠による裏付けがないと、被害があったこと自体についての認定も揺らぎかねないことに留意する必要がある。】
※参考記事