万引きをしてしまう癖を辞めたいのでどうすれば良いかという相談(万引き、刑事弁護)
2024年10月01日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡市に住む40代の女性医者です。独身で一人暮らしをしているのですが、ある時、出張先のコンビニで万引きをして以来、疲れた時にどうしても衝動的に盗みたくなってしまい、万引きをするようになってしまいました。こういうことは辞めないといけないと思っているのですが、自分では止められません。とうとう捕まって警察に通報されて、微罪処分となったのですが、またしてしまいました。警察からは今度は微罪処分では済まないと言われています。自分で自分が嫌です。どうすれば良いのでしょうか。インターネットを見ると、自助グループに行くべきだとか、カウンセリングを受けるべきだとか見ますが、誰かに言われるかもしれないと思うと行けません。
A、深くお悩みされていることだと思います。弁護人をつけて示談交渉をして不起訴処分を目指すことはまず必要でしょう。その上で、本を読むということもあります。私の経験上、本を読んでいく中で自ら問題に向き合い回復していった方もいました。
【解説】
万引きを繰り返してしまい、一人で悩んでいる方は多いようです。インターネットを見ると、カウンセリングとか自助グループを勧められていますが、「誰かに話をする」ということは大変な勇気がいるものであり、それ自体高いハードルがあります。そのため、私は当事者の方にはまず本を読むことを勧めています。「買うことも恥ずかしい」という思いを抱えられている方もいるので、依頼者には私から渡すこともあります。以下は、私がお勧めしている本です。
①岡田尊司(監修):松本耳子(漫画)『マンガでわかる 愛着障害 自分を知り、幸せになるためのレッスン』
万引き事件の背後には「愛着障害」があると思われることがあります。自分自身の理解のために有用です。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334951283
②小早川明子著:平井愼二(監修)『やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術』
「条件反射制御法」について具体的な手順をしっかり記載しています。依存症の人には一読の価値があります。
https://www.forestpub.co.jp/author/kobayakawa/book/B-1945
③ニュー・サイエンティスト: ヘレン・トムスン著『人生修復大全』
「第8章 習慣をつくり、悪習を断ち切るためには」が特に参考になります。
「人生をやり直す」ために必要なことにつき、全般的なフォローがなされていますので強くお勧めします。
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=4053-1
④樺沢紫苑著『精神科医が教える ストレスフリー超大全 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』
万引きの引き金になる「ストレス」について、解消するための実践的な手法を解説しています。
https://www.diamond.co.jp/book/9784478107324.html
⑤テレンス・ダリル・シュルマン著『クレプトマニア・万引き嗜癖からの回復 “ただで失敬”してしまう人たちの理解と再犯防止エクササイズ』
クレプトマニアから回復された当事者の方が作成した文献です。参考になります。
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo05/bn971.html
⑥七海 仁(原作):月子(漫画)『Shrink〜精神科医ヨワイ〜』
3巻に万引き依存症の方が回復していくエピソードが掲載されています。1巻から3巻までまとめて購入することをお勧めしています。
https://grandjump.shueisha.co.jp/manga/shrink.html
※参考記事
刑事弁護に注力「非難せず、寄り添う」 誠実さをモットーに全ての案件に「手作り」の意識で取り組む
鐘ケ江 啓司 弁護士インタビュー
https://www.bengo4.com/fukuoka/a_40130/g_40133/l_137175/
文献紹介 愛甲修子「愛着障害はどうやったら治せるのか?」そだちの科学 no.33「愛着とその障害」 (2019年10月号)77-82頁(万引き、刑事弁護)