同居の彼氏が大麻をやっていて、私も共同所持と疑われているという相談(刑事弁護、大麻)
2024年10月07日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は25歳で同い年の彼氏と同棲しています。福岡市内のアパートに住んでいるのですが、昨日、朝にいきなり警察が家宅捜索にきて、彼氏が大麻を購入しているということで部屋の中を見られました。私も彼も警察に行って尿検査を受け、私はもちろん陰性だったのですが、彼は陽性反応がでたそうです。彼はそのまま逮捕されました。私は良くわからないのですが、彼氏は大麻を吸うための道具も自宅に置いていたようです。彼氏とは「接見禁止」ということで会えていないのですが、国選弁護人さんの話では、彼は私は大麻をしていることを知らなかったと話しているそうです。実際にそうなのですが、警察から私も呼び出しを受けました。何を訊かれるのか不安です。断った方が良いのでしょうか。
A、国選弁護人の方に相談すべきと思いますが、基本的に事情聴取ということで呼ばれているだけだと思います。そのため、彼が黙秘をしているといったことでなければ、事情聴取に応じて特に問題はないと思います。ただ、もし取調べの際に「黙秘権」を告知されて、大麻の共同所持として疑われている場合には速やかに弁護士に相談すべきです。大麻事犯については、法定刑も引き上げられており、今後は警察がより厳格な対応をしてくることが予想されます。
【解説】
良くあるタイプの相談です。大麻については、大麻自体とそれを吸うための道具が家宅捜索で押収されることが多く、そうなると同居の家族は「知らなかったのか」と警察に訊かれることがあります。興味がないので知らないということは自然な話だと私は思いますが、警察としては「共同所持」ではないかと疑ってくることがあります。その場合は、積極的に共同所持でないことを主張していく必要があります。
令和6年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43079.html
厚生・労働2024年06月19日
大麻草から製造された医薬品の施用等の可能化・大麻等の不正な施用の禁止等に係る抜本改正
~大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律~ 令和5年12月13日公布 法律第84号
法案の解説と国会審議
執筆者:木村歩
https://www.sn-hoki.co.jp/articles/article3567820/
【(2)大麻等の施用等の禁止に関する規定・罰則の整備
① 大麻等を麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」に位置付けることで、大麻等の不正な施用についても、他の麻薬と同様に、同法の禁止規定及び罰則を適用する。
なお、大麻の不正な所持、譲渡し、譲受け、輸入等については、大麻取締法に規制及び罰則があったが、これらの規定を削除し、他の麻薬と同様に、「麻薬」として麻薬及び向精神薬取締法の規制及び罰則を適用する(これに伴い、法定刑も引上げ)。】
【参考文献】
小森榮『もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術』(現代人文社,2012年6月)70頁
【生活の場を共有している夫婦や内縁関係でも、薬物はごくプライベートな所有物であり、互いの意識の中で「夫のもの」「妻のもの」という区別があることもありますが、その境界はとかくあいまいです。冒頭にまとめたように、覚せい剤の所持とは、「覚せい剤を物理的に直接把持することは必要ではないものの、その存在を認識してこれを管理し処分し得る状態にあることを要する」とされており、①その存在を認識していること、②管理し処分し得る状態にあること、が同時に満たされるとき、覚せい剤の所持が認められることになりますが、これを夫婦など生活の基盤を共有している問柄に当てはめるなら、居宅内の薬物は共有支配の場所に保管されているため、ほとんどのケースで、その存在は2人とも認識しています。】