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薬院法律事務所

刑事弁護

【えん罪】駅のホームで女性を押し退けたら、痴漢といわれたという相談(痴漢、刑事弁護)


2024年10月10日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は福岡県に住む30代のサラリーマンです。毎朝電車に乗って通勤しているのですが、この日は入口の近くが混んでいました。私は列車の真ん中ほどにいたのですが、降りる駅が近づいたので「降ります」と声をかけて入口に向かいました。すると、私に背中を向けて避けない女性がいたので、咄嗟に右手で腰のあたりを押してどかしたところ、騒がれて警察が来ました。警察からは、福岡県迷惑行為防止条例違反、「痴漢」だといわれました。後で気付いたのですが、イヤホンで音楽を聴いていたので私の声が聞こえなかったようです。これで「痴漢」とされることは全く納得がいかないです。どうすればいいでしょうか。

A、弁護士から意見書を出すことで「痴漢」にあたらないと主張することができる事案だと思います。起訴されると無罪をとることは困難になるので、早急に弁護士をつけて対応すべきでしょう。

 

【解説】

 

痴漢事件については、単に衣服の上から人の身体に接触するだけでは迷惑行為防止条例違反にはなりません。「人を著しく羞恥させ、かつ、人に不安を覚えさせるような方法」であることが要件とされています。本件については、「腰」ということで性的部位に近いところではありますが、状況からして混雑した車内から降りるために行った行為として、迷惑行為防止条例違反にあたらない、あるいは少なくとも「故意」がかける事案になると思います。

 

福岡県迷惑行為防止条例

https://www.police.pref.fukuoka.jp/data/open/cnt/3/4139/1/meibo.pdf?20190620183453

(卑わいな行為等の禁止)
第六条  何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
一 他人の身体に直接触れ、又は衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から触れること。

 

文献紹介 清水庸平(法務省刑事局付検事「判例評釈 大阪高裁令和元年8月8日」警察公論2020年3月号