大麻をテーマにしたマンガを作成したが、麻薬特例法違反にならないか心配という相談(違法薬物、刑事弁護)
2024年10月25日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、漫画家です。最近、大麻が流行っているということで、大麻栽培をテーマにした漫画を作成しました。ホームページ上で公開しているのですが、最近になって、SNSで大麻についてて言及した芸能人が逮捕されたというニュースを見て不安になりました。私の漫画は大丈夫でしょうか。
A、これは、現物を見ないと判断ができません。漫画表現ということであれば、「表現の自由」ということで保護される可能性も高くなると思いますが、はっきりとした判断基準があるわけではありません。違法薬物問題に詳しい弁護士に相談すべきです。
【解説】
最近、検挙事例が出てきているものですが、適用範囲が不明確で、文献も乏しい分野です。悩ましい内容であれば、弁護士の面談相談を受ける必要があるでしょう。
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000094#Mp-Ch_3
(あおり又は唆し)
第九条 薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第六条の罪若しくは第七条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
【参考文献】
古田佑紀・齊藤勲編『大コンメンタールⅠ薬物五法〔麻薬等特例法〕』(青林書院,1994年4月)51頁
【本条の罪は,薬物犯罪等を実行すること又は規制薬物を濫用することをあおり,又は唆すことによって成立する。
「公然」とは,不特定,又は多数の人が知ることができる状況をいい,「あおり,唆し」とは,薬物犯罪を実行すること,あるいは,規制薬物を使用することの決意を生じさせるような,又は既に生じている決意を助長させるような剌激を与える行為を指す。
例えば,集会で,そこに集まっている人に対し,覚せい剤を使用する意思を生じさせるような演説を行い,その旨のビラを配布し,あるいはテレビ,ラジオ等を使って同様の演説を行うなどの行為が考えられる。
単に一定の薬物の無害性を主張し,その規制の廃止を求めるにとどまる限りでは,本罪には該当しない。】
中川清明「第5章 麻薬特例法の罪 第6節 第9条(あおり又は唆し)の罪」藤永幸治編集代表『シリーズ捜査実務全書8 薬物犯罪(第2版)』(東京法令出版,2006年8月)257-260頁
258頁
【上記平成12 年の大阪地裁判決では、約3か月の間ホームページ内に「確実に覚醒剤を購入できる方法」と題して覚せい剤密売場所に至る道順、同所での覚せい剤購入方法、その注意点等、「パイプ活用法」と題して覚せい剤使用に用いるパイプの携帯方法や掃除の仕方等、「パイプ作成講座(炎り用)」と題して覚せい剤の吸引具である特製パイプの製造方法等を具体的に記した情報を不特定多数人をして閲覧させたことをもって、覚せい剤の譲受けとともに、使用についても、あおり又は唆したものと認めている。なお、単にある種の薬物の無害性を主張したり、その規制の廃止を求めたりするにとどまる限りでは、本条の罪には当たらないと考えられる。】