賃金債権の消滅時効期間延長について
2019年07月04日労働事件(企業法務)
賃金債権、2年を見直すというのは既定路線ですが、5年まで伸ばすかは決まっていないようです。また、少なくとも過去に遡って時効延長は考えられていないようです。
いずれにしても、時間管理がますます大事になります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05593.html
資料No.4 賃金等請求権の消滅時効の在り方について(論点の整理)[PDF形式:1.5MB]
11頁
【現行の労基法上の賃金請求権の消滅時効期間を将来にわたり2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要ではないかと考えられる。この検討会の議論の中では、例えば、改正民法の契約上の債権と同様に、賃金請求権 の消滅時効期間 を5年(※)にしてはどうかとの意見も見られたが、この検討会でヒアリングを行った際の労使の意見に隔たりが大きい現状も踏まえ、また、 消滅時効 規定 が労使関係における 早期の法的安定性の役割を果たしていることや、 大量かつ定期的に発生するといった賃金債権の特殊性 に加え、労働時間管理の実態やその 在り方 、仮に消滅時効期間を見直す場合の企業における影響やコストについても留意し、 具体的な消滅時効期間については 速やかに 労働政策審議会で検討し、労使の議論を踏まえて一定の結論を出すべきである。】
13頁
【仮に、労基法第 115 条 等の規定の見直しを行う場合、民法改正の施行期日 2020年4月1日)も念頭に置きつつ、一方で、働き方改革 を推進するための関係法律整の備に関する法律(平成 3 0 年法律第 7 1 号) の施行に伴い現在及び今後順次生じていく企業の労務管理の負担が一層増大するといった意見もあり、民法と労基法との関係や、こうした実態等も踏まえ、見直しの時期や施行期日について、 速やかに 労働政策審議会で検討すべきである。
また、仮に 労基法 第 115 条 等の規定を改正する場合においては、当該改正法の施行期日以後のどのような債権から適用するのかについて (いわゆる 経過措置 は、
①民法改正の経過措置と同様に、労働契約の締結日を基準に考える方法
②賃金等請求権の特殊性等も踏まえ、賃金等の債権の発生日を基準に考える
方法の
いずれかが考えられる。①については、労働者個々人によって改正前の規定(旧規定)が適用される者と改正後の規定(新規定)が適用される者が明確に分かれることになる一方で、②については労働契約の締結日にかかわらず賃金の発生日で分けることとなる。例えば、施行期日前に締結した月給制の無期契約労働者について考えてみると、①の場合は相当な期間 は 旧規定に基づき消滅時効が運用されていくことになるが、②の場合は施行期日後に発生した月給 について は新規定に基づき消滅時効が運用されていくことになる。
この経過措置についても、改正法の対象となる労働者の範囲や企業の労務管理に大きな影響を及ぼすものであり、その 在り方 について、 速やかに 労働政策審議会において検討すべきである。】13頁