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薬院法律事務所

企業法務

無料求人広告詐欺と約款理論


2019年07月22日企業法務

最近無料求人広告詐欺が盛んです。
無料ということで勧誘され、契約書には小さな文字で「有料契約への自動更新」が記載されています。

しかし、無料の広告契約と、有料の広告契約は全く異質なので、この引用部分にある不意打ち防止準則が働き、有料広告の合意は不成立になるのでは、と思っています。

加藤新太郎・松田典浩編『裁判官が説く民事裁判実務の重要論点 契約編』(第一法規,2017年2月)66頁

【約款は、企業がその大量、反復、継続する取引を合理的に処理するため、あらかじめ契約条件を定型的に、たいていは印刷された文書の形で定めておき、個々の契約は一律にこれに拠らしめる契約条項であり、約款の拘束力の根拠については、法律行為説、附合契約説、商慣習法説等の学説がある。
約款解釈に当たっての諸準則として、①個別合意優先の準則(契約当事者間で約款中の条項と異なる個別合意をしていれば個別合意が優先する。)、②約款の客観的・統一的解釈の準則(客観的に表現された約款文言のみを解釈対象としなければならず、当該具体的状況における個々の当事者の意思や、当該契約を取り巻く諸事情を考慮すべきでない。)、③疑わしきは、約款使用者に不利に解釈するとの準則(約款文言につき複数の解釈可能性が残るために約款の解釈について疑いがある場合には、約款を作成又は使用した当事者に不利に解釈されなければならない。)、④不意打ち防止の準則(約款中のある条項が、契約の外部的表現形態からして予期できないほどに異常である場合には、その条項は契約の構成部分とならない。)が挙げられている。】