load

薬院法律事務所

刑事弁護

セルフレジで、割引きシールを貼って精算したという相談(万引き、刑事弁護)


2024年12月17日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は東京都に住んでいる会社員です。深夜、残業帰りに、いつもスーパーで割引きされているお惣菜を買って帰っているのですが、目当ての弁当が半額の割引きシールが貼られていないことがあります。どうせ廃棄される商品なのでもったいないと思い、隣りの弁当についていた割引きシールを貼り付けて、そのままセルフレジで精算して帰りました。後になって、これはまずいのではないかと思っているのですが、大丈夫でしょうか。

 

A、窃盗罪(刑法235条)が成立します。

 

【解説】

 

この種の万引きは昔からあります。正規の価格で購入をしていないので、割引きシールを貼り付けた時点で窃盗罪の実行の着手が認められ、セルフレジを通過した時点で既遂となるでしょう。なお、有人のレジを通過させた場合は詐欺罪(刑法246条)が成立します。

 

刑法

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_36

(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

 

【参考文献】

刑事実務研究会編『執務資料 擬律判断 第一線捜査官のための刑法・特別法の手引』(東京法令出版,2020年3月)104頁

【事例2 非典型の態様による万引き(①セルフレジの悪用、②商品の隠匿)
Xは、スーパーマーケットA店において、店内で販売されている、同店店長B管理に係るスマートフオン用ケーブル1点(販売価格2,000円)について、
【事例①】値札を800円のものに貼り替えて、セルフレジで精算を済ませ、同ケーブルを本来よりも1 ,200円安く購入した。】

 

警視庁刑事部刑事総務課編『実務(39) 刑法各論〔下〕』(警視庁,2018年3月)207頁

【〔事例〕23 陳列商品に割引表示シールを貼り付け、通常価格よりも安価で購入した者の刑責】