私が、警察官専売図書を買い集める理由(刑事弁護)
2025年02月19日刑事弁護
私は、ヤフオク!やメルカリで警察官専売図書を見つけたらちまちま買い集めています。
理由は3つあります。
第1の理由は、警察がどのように捜査手続を進めるかわからないと、適切な捜査弁護活動ができないからです。
例えば、取調受任義務がないという主張の下に、弁護人立ち会いを認めない限りは出頭に応じないという弁護戦略を取った場合、警察実務では逮捕してくることもあります。そうなると、逮捕&報道発表のコンボで依頼者とそのご家族に回復不能なダメージを与えます。 弁護人は「不当逮捕である」と糾弾することはできますが、受けた不利益は回復不能です。私は刑事弁護では「何も起きなかった」が最善と考えていますので、なるべくそれに近い方向に行けるように模索しています。
第2の理由は、弁護人が、捜査の常道、そして捜査書類がどのようにして作成されるのかを知らないと、公判で、刑事裁判の証拠を正しく評価できないからです。 当たり前のことですが、捜査書類は、人間の捜査官がちまちまと手作業で作成しています。捜査のすべてを反映しているものではなく、上司、検察官、裁判所に報告する書類として作られています。中にはあくまで内部限りということで作成されるものもあるようです(これは、証拠隠しと非難されることもありますが、被害者保護の観点から出してはならないものがあるのも事実です)。 そういった視点で証拠を見ると、「本来あるはずの証拠がない」「捜査報告書に本来あるはずの記載がない」といったことに気がつくことがあります。「ない」ことが重要ということはしばしばあります。シャーロック・ホームズの「白銀号事件」では「犬が吠えなかったこと」が推理の決め手になりますが、現実の事件でもこれは重要な視点です。
第3の理由は…反社やそれに準ずる相手の手元に警察官専売図書が渡って欲しくないからです。私の見る限り、書いてある内容は知られてもそう弊害はないものだと思われますが、反社が、熱心に研究することでより効率的な証拠隠滅などのヒントにする可能性があります。 なので、実は重複して購入している書籍も多いです。なお、福岡県警察本部刑事部刑事総務課の理論レベルの高さは、警視庁刑事部刑事総務課に匹敵すると思っています。他の県警本部も色々な実務書を出されていますが、リサーチが徹底的です。