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薬院法律事務所

刑事弁護

保釈請求にあたって「検察官意見」を謄写することの有用性(刑事弁護)


2025年02月23日刑事弁護

保釈請求をした後に検察官から提出される「保釈請求に対する意見」は、裁判所で閲覧(裁判官の許可が必要ですが謄写も)できます。検察官の準抗告申立書も閲覧(謄写)できます。

その内容を見ると「検察官が事件をどのようにとらえているのか」を把握できます。なので、保釈請求の結果に関わらず、私はいつも謄写しています。ちなみに捜査段階の勾留に対する準抗告について、検察官の意見書も閲覧(謄写)可能ですので、必要に応じて確認すべきでしょう。

 

※刑事訴訟法

第四十条 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
② 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の六第四項に規定する記録媒体は、謄写することができない。

 

※最決平成28年10月25日

判示事項
公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した保釈請求に対する検察官の意見書の謄写を許可しなかった裁判官の処分が是認できないとされた事例

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86223

平成28年(し)第607号 保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
平成28年10月25日 第一小法廷決定
主 文
本件抗告を棄却する。
理 由
本件抗告の趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法433条の抗告理由に当たらない(なお,原々審の裁判官が,検察官の意見書について,弁護人に謄写を許可しなかった点は是認できない(最高裁平成17年(し)第406号同年10月24日第二小法廷決定・刑集59巻8号1442頁参照)。)。よって,同法434条,426条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大谷直人 裁判官 櫻井龍子 裁判官 池上政幸 裁判官小池 裕 裁判官 木澤克之)

 

最決平成17年10月24日

判示事項
公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写を許可しなかった裁判官の処分に対する不服申立て

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50102

主    文
本件抗告を棄却する。
理    由
記録によれば,本件は,申立人が,公訴提起後第1回公判期日前に,起訴前の勾留理由開示の期日調書(以下「期日調書」という。)の謄写申請をしたところ,これを担当した裁判官において期日調書の謄写を不許可にしたのは違法であるとして,刑訴法429条1項2号により準抗告を申し立てたものである。しかし,【要旨】本件期日調書の謄写の不許可は,勾留理由開示を担当した裁判官が同法40条1項に準じて行った訴訟に関する書類の謄写に関する処分であって,同法429条1項2号にいう「勾留(中略)に関する裁判」には当たらないから,これに対しては,準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができるにとどまると解するのが相当である。したがって,本件準抗告の申立ては不適法であり,これが適法であることを前提とする本件抗告の申立ても不適法である。
よって,同法434条,426条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 古田佑紀 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修 裁判官 今井 功 裁判官 中川了滋)