オンラインカジノを利用していて、自首したいという相談(刑事弁護)
2025年08月01日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私はトラックの運転手をしているものです。テレビでオンラインカジノのCMを見て、オンラインカジノをしていました。気晴らしのつもりで始めたのですが、いつでも出来るのですっかりはまって数十万円をつぎ込んでいます。最近になって、ニュースでオンラインカジノで遊んでいた人が賭博罪で検挙されたというものを見て、不安になっています。自首した方がいいでしょうか。
A、オンラインカジノに関しては、罪の意識なく始めてしまった人が多いようです。現在の状況では、起訴猶予処分も狙えますので、私は自首をお勧めしています。もっとも、どういった形で自首すべきかといったこともありますので、まずは弁護士の面談相談を受けるべきです。
【解説】
オンラインカジノの日本国内での利用については、賭博罪で犯罪となります。もっとも、テレビCMがなされていた時期もあり、犯罪とわからずに始めた人も多いようです。すぐに辞めるべきです。その上で、賭博罪で逮捕されないように自首することが考えられます。現時点では、通常の利用者が逮捕まで至る事案は稀だと思いますが、今後の警察の実務運用がどうなるかはわかりません。当事務所では自首のご相談を受け付けております。
私が自首同行の依頼を受けた場合は、身上・経歴と、オンラインカジノを始めた経緯等を詳細に聴き取って事前に書面を作成し、自首に同行することにより逮捕の可能性を減少させます。警察は、基本的に被疑者に有利なことを聴取しませんので、あらかじめ弁護士が有利な事情を聴き取って証拠化することが、起訴猶予処分を狙うにあたって重要となります。
警察庁 オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/onlinecasino/onlinecasino.html
刑法
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
第二十三章 賭と博及び富くじに関する罪
(賭と博)
第百八十五条 賭と博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の拘禁刑に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
【参考文献】
警察実務研究会「交番勤務立花巡査の一日【第161回】オンラインカジノ」警察公論2025年8月号28-45頁
【巡査 はい、そうでしたね……。しかも、渦中の人たちは口をそろえて「違法だとは思っていなかった。」と言っていたじゃないですか…あんな言い訳、通用するわけないですよ……。違法に決まっているじゃないですか….。
所長それはどうかな.…。「違法に決まっている」って、本当にそう言い切れるものなのかな?違法に決まっているかどうかなんて、すぐには分からないからこそ、「違法だとは思っていなかった。」て言うんじゃないのかな?】29-30頁
城祐一郎「誌上講義第68回 オンラインカジノ等をめぐる諸問題」捜査研究2025年5月号(897号)31-63頁
【オンラインカジノが、近時、大きな社会問題になっているとはいえ、この手口も上記ギャンブル必勝法詐欺と同様に、以前から存したものである。しかしながら、このオンラインカジノは、自己の携帯電話やパソコンなどから、極めて手軽に行えることから、気軽に行ってしまう者も多く、違法性の意識のないままに賭博行為に及んでしまっているのが実情であろう。
今後、広報活動が進むにつれ、この種事件は減っていくと思われるが、検挙に勝る防犯なしというのは、この種犯罪の領域でも同様である。積極的な立件と効果的な刑罰の実施が必要であろうと思われる。】63頁
※参考記事