歩行者なのに、交通事故加害者として捜査を受けているという相談
2026年01月13日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、東京都に住む公務員の男性です。先日、横断歩道を走って横断したところ、死角に子どもが歩いてきていることに気が付かず、膝で蹴るような形で跳ね飛ばしてしまいました。子どもが転倒して骨折したということで、日常生活賠償特約付保険で賠償対応をしてもらっているのですが、親御さんが激怒しており、刑事告訴されています。仕事がら前科がつくのが困るので処罰を回避したいのですが、どうにかならないでしょうか。
A、過失傷害罪または重過失傷害罪が成立する可能性があります。具体的な状況が重要になりますので、早期に弁護士をつけて現場の防犯カメラの保全を含めた対応をしてもらうべきでしょう。また、親御さんの怒りを和らげるための弁護活動も必要になると思います。
【解説】
歩行者が加害者となる事故は多くはありませんが、時折生じます。私自身の取扱い経験でも、歩行者が高齢者と衝突して高齢者がケガをしたという事件がありました。一般に歩行者は交通弱者といわれて刑事罰に問われることは多くありませんが、事案によっては過失傷害罪または重過失致死傷罪が成立することがあります。具体的な事案次第ですので、早期に弁護士に相談すべきでしょう。
※刑法
(過失傷害)
第二百九条 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(過失致死)
第二百十条 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。
(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_28
【参考文献】
城祐一郎『Q&A 実例交通事件捜査における現場の疑問〔第2版〕』(立花書房,2017年10月)397頁
【以上述べてきたものは.自転車の運転者が加害者となって重過失致死傷罪や過失傷害罪に問われた事案であるが.では,歩行者が加害者となって.それらの罪に問われるようなことはないのであろうか。歩行者は.被害者になることが通常であって.これが加害者となって被疑者となる事件も存在する。理論的にいっても,歩行者が何らかの過失により.自転車や自動二輪車の運転者に傷害等を負わせるケースは考えられないではない。実例として.いずれも公刊物未登載であるが.ここで3件の例を挙げ,それらのケースに基づいて歩行者の過失の捉え方について検討してみたい。】


