交通死亡事故事件、何度も呼び出されるので取調べを断っていいか
2026年02月17日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡市で会社を経営する50代男性です。先日、夕方ごろに自動車を運転していたのですが、住宅街を進行しているときに脇の道から出てきた歩行者を跳ねてしまいました。急いで救急車を呼んだのですが、被害者の方は亡くなられました。警察から呼び出しを受けて状況を説明しているのですが、現場には防犯カメラがなかったということで、私の供述内容がおかしいと3回も呼ばれています。
インターネットをみると、任意取調べに応じるのかは自由であり、出頭を強要するのは黙秘権の侵害だと弁護士さんが書いていました。もう行かないで良いでしょうか。
A、理屈としては、任意取調べに応じないのは自由です。ただ、交通死亡事故という重大事件ですし、現在は在宅捜査であっても将来的に逮捕される可能性もあります。弁護人を就けた上で慎重に対応すべきだと思います。
【解説】
交通死亡事故のうち、歩行者を死亡させたという類型は犯情が悪い部類になります。現在、在宅捜査で進んでいるとしても、将来的に逮捕される可能性がないという犯罪ではありません。自分だけで対応するのではなく、弁護人をつけて逮捕回避を含めて対応方針を十分検討すべきです。
※自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000086#Mp-At_5
【参考文献】
東京地方検察庁交通部実務研究会『改訂版交通事故事件捜査110講』(警察時報社,2009年9月)150頁
【自動車事故の場合.事故原因を車両の欠陥に押しつけようと工作する場合が少なくないので.車両の押収が困難な場合(第三者所有車両など)には,車両と被疑者を引き離すという意味がある場合がある。また,交通事故事件捜査の最重要ポイントは実況見分にあることはいうまでもないが,在宅事件で被疑者が多忙などを理由にこれに協力しないようなときには,その行動の自由を制約できないため,折角交通を遮断し,関係人を現場に集めたのが徒労に帰すおそれがある。こうした事態が予想される場合には,強制捜査が行われることが多い。】


