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薬院法律事務所

刑事弁護

交通事故、診断書が出されなければ人身事故にならないのか


2023年06月05日読書メモ

時折ある質問です。

私も確信をもって回答できないのですが、一般論として、むち打ちなどの軽傷であれば診断書が提出されなければ物損事故とされ、重症であれば診断書がなくても人身事故として取り扱われると思います。

下記文献では、臨場した警察官が出血を現認した事案で、人身事故として取り扱うように記載しています。

Top OSAKA2022年2月号別冊 論文の目ダマ2022 243頁

【2 本事例における基本方針
(1)設問における事例は、事故により一方の運転者が怪我をしていることが客観的に明らかであることから、人身事故として捜査することを基本とし、示談の申出とは明確に区別する。

(2)診断書については、当事者から得られないのであれば、診察した医師に対する照会又は取調べ等、捜査活動により、怪我の程度を明らかにするよう努める。】

 

なお、診断書が提出されたとしても、最終的に人身事故として処罰や行政処分がなされるとは限りません。診断書の内容(むち打ちなど客観的所見なし)、車の損傷状況(修理不要)、診断書の作成時期(事故から数日以上経過して作成)、以後の治療経過(通院なし)などから傷害の事実が認定できない、ということもあります。

その場合、嫌疑不十分不起訴や、行政処分を免れることもあります。ただ、きちんと指摘しないとそのまま起訴や処分がされる危険性がありますので、相手が軽傷の場合は、ちゃんと弁護士に相談すべきです。

特にひき逃げとされた場合は免許取消という重大な不利益が生じますので、弁護士に依頼することが必要ということも多いでしょう。私の取扱い経験でも、きちんと意見書を出したことにより、刑事罰や行政処分を回避できたと思われるものがありました。