刑事弁護人から見た、盗撮事件を起こす人の心理についての仮説(盗撮、刑事弁護)
2024年07月03日刑事弁護
私はこれまで複数の性犯罪事件の弁護を手がけてきました。その中でも特に多いのが「下着盗撮」事件です。実際の彼らを見ると、真面目で「よい子」が多く、自分自身でも何故下着盗撮に駆り立てられるのかわからずに苦しんでいました。そういった人たちと対話するなかで、こういうことが原因ではないか、こうすれば再犯防止になるのではないかと考えたことがあります。もちろん、私の乏しい経験と知識に基づくものですので、これこそが真実であるとするものではありません。ただ、私のホームページを見た人が、再犯防止の参考になるのではないかと思い、記事を作成することにいたしました。
性犯罪については、「認知のゆがみ」が原因といわれることが良くあります。これは定義が論者によって違いますが、「性犯罪を正当化する考え方」を指すことが多いようです。ですが、私はこれは「ブレーキ」の議論であり、これだけでは不十分だと思っています。「アクセル」の問題を検討することが大事なのです。そもそも、大多数の男性は盗撮行為そのものに興味がありません(これは、痴漢行為についてもそうです)。それなのに、何故ごく一部の男性が盗撮行為に駆り立てられるか、を考えることが大事です。このことを個別に、対話を通じて検討する必要があります。それをしていないと、「再犯」をして、結局のところより本人もご家族もより苦しい状況に追い込まれてしまうことがあります。「ブレーキ」をいくら強化したところで、「アクセル」の問題が解消されていないと、ストレスがかかった時点で破綻してしまうのです。そういったことまで弁護人が考えて依頼に取り組むと、本人もご家族も楽になりますし、再犯も防げます。
そもそも、認知のゆがみというのは誰の中にもあるものです。多くの人がそれによって生き延びています。例えば、「健康に悪いとわかっても夜中にポテチを食べてしまう」という場合、「ストレス解消は大事だから」とか「美味しいものを食べることは人生を豊かにするから」とか「これで仕事を頑張れるから」とか、様々な形で脳は「正当化」する理由を作り出します。ここに「それらは間違いであり健康的なストレス解消方法を~」といっても響きません。これはスマホゲームのこともありますし、SNSということもありますし、お酒、あるいは異性との交際といったこともあるでしょう。「何故それを求めてしまうのか(ポテチの例ではたんぱく質不足があるのかもしれません)」を知ることが、やめられない習慣をやめるためには重要です。
※なお、DV事件では、加害者は、被害者に「認知のゆがみ」を植え込むことで縛ります。「愛情表現だ」とか「本当は優しい人」だとか「私の対応が悪かったから」などです。「交際相手を殴る相手がおかしい」という当然のことを考えさせないようにします。
文献紹介 草柳和之「効果的なDV被害者支援のために : 被害者ファーストを探求する」家庭の法と裁判46号(2023年10月号)
1.下着盗撮事件
下着の撮影ばかりにこだわる人。二パターンあり、周囲、特に女性に気を遣う「よい子」であるパターンと、おそらくASD傾向があり限局的関心が下着に向かっている人がいます。「よい子」の場合は、女性の人格に対する恐怖心が根底にあり、母親や妻といった周囲の女性から「支配」されている傾向があります。下着盗撮をする「よい子」は、自分がなんでそんな行為に駆り立てられるかわからず苦しんでいます。私は、特に重要なのは幼児期の「愛着」の問題だと思っています。参考文献の「マンガでわかる 愛着障害」が役に立ちます。下着盗撮行為を通じて、傷つけられ続けてきた自己肯定感・自己効力感を回復し、抑圧され続けてきた感情を解放しているのではないかと推測しています。後ろ姿の盗撮もしているパターンも多く、その背景には「女性の目」を怖がっている場合があります。『「よい子」でなければ社会から排除されてしまう』という強烈な恐怖心をどうやわらげるかがカギになります。その恐怖心が社会的成功とつながっているパターンもあるので、長所と短所が同じコインの裏表であることも説明します。本人の強い恐怖心と孤独、性欲、愛着などが混じりあって下着盗撮に駆り立てられているので、「対話」を通じてそこを解きほぐさないといけません。常習化している場合は「条件反射制御法」も併用します(個人情報を知られることをおそれて医療機関につながらない人もいるので「やめたいのにやめられない悪い習慣をやめる技術」を渡すこともあります)。また、ストレスを健康的に解消する方法を身につけることも大事です。
さらに、私は、下着盗撮には自傷行為の側面もあると見ています。万引きと同じで、あえて「規範」に反する行為をすることで、精神のバランスを保っているのではないかと。自己完結型の犯罪なのです。そこが痴漢行為と異なります。
下記文献にあるように、刑務所における性犯罪者処遇プログラムが、迷惑防止条例違反の再犯防止に効果をあげていないのも、彼らの抱える問題のコアが「認知のゆがみ」ではなく、「女性の人格への恐怖心」だからではないかと考えています(なお、迷惑防止条例違反のうち電車内痴漢事件は、弁護を担当したことがないのでコメントを控えます)。
※越智啓太・桐生正幸『テキスト 司法・犯罪心理学』(北大路書房,2017年7月)111頁
【刑務所における性犯罪者処遇プログラムの効果:性犯罪者処遇プログラムの実施を開始した2006年から2012年にいたるまで, 5年間の再犯率追跡調査を行なっている。計2,147名(プログラム受講群: 1,198名,非受講群:949名) をサンプルとして, 3年後の推定再犯率を生存分析(カプラン・マイヤー推定法) した結果.性犯罪以外の再犯も含む再犯率は,受講群が21.9%・非受講群が29.6%であり, プログラムの効果が実証された。強姦事犯者の性犯罪以外の再犯を含む再犯率は,受講群が11.9%,非受講群が19.4%であり,効果が実証されている。一方,性犯罪の再犯率は,受講群が128%,非受講群が154%, 強制わいせつ事犯者の性犯罪以外の再犯も含む再犯率は,受講群が22.6%,非受講群が27.9%であり,受講群のほうが非受講群よりも再犯率が低かったが,統計学的な有意差はみられなかった。また,迷惑防止条例違反者の性犯罪以外の再犯も含む再犯率は,受講群が60.0%,非受講群が51.7%となっており,統計的に有意ではなかったが,受講群のほうが非受講群よりも再犯率が高かった結果となっている。
全般的にみると,性犯罪者処遇プログラムは, 反社会的態度を低減する効果があると考えられ,特に強姦犯など暴力性の程度が高い群には比較的効果が高いと考えられる。しかし, 強制わいせつや迷惑防止条例違反など,比較的暴力性の程度が低いまたは中程度の対象のうち,性犯罪がアディクション(嗜癖)となっている人に対しては,効果が薄いか,逆効果になっている可能性があると考えられ,今後改善の余地があることを示している。また,北米の結果と比較すると,我が国におけるプログラムによる再犯率低減率は約7.5%となっている。単純には言えないが,我が国におけるプログラムは,北米と比べて受講期間が3分の1程度と少なくシステムが違っていることが,再犯率低減効果の違いとなって現れているのかもしれない。】
(※2006年から2012年の頃は2と3は迷惑防止条例では取り締まられていない地域がほとんどであったため、上記での服役者は、痴漢と下着盗撮犯が主要を占めていると考えられます)
https://www.kitaohji.com/book/b580145.html
法務省 刑事施設における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析結果について
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei05_00005.html
刑事施設における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析 研究報告書
【迷惑行為防止条例違反事犯者については,平成 24 年報告と同様に指導の効果について統計的な裏付けを得られなかった。同事犯者の大半が「痴漢」であることは平成 24 年報告でも指摘されているが,平成 27 年版犯罪白書14において,「痴漢型」に類型化された性犯罪者は,他の類型の性犯罪者と比べて再犯率が最も高く,複数の刑事処分を受けているにもかかわらず,痴漢行為を繰り返していることが多いと報告されている。また,遊間義一ほか(2017)は,本調査報告とは異なる時期(平成 20 年 7 月から平成 21 年 12 月まで)の出所受刑者群の追跡調査に関する研究において,痴漢を主とする条例違反で受刑した者に対して,性犯罪再犯防止指導の再犯抑止効果が認められない旨を示し,痴漢についてはプログラムの修正を考慮することを提言している。
なお,同事犯者には刑期が短い者が多く,集中プログラム受講者が59.6%と最多で,次いで高密度プログラム受講者が 37%であった。集中プログラムは,平成 21 年に「速習プログラム」として試行が開始され,平成 24 年に「集中プログラム」として新たに試行が始まり,試行状況を踏まえた精査・検討を得て,平成 27 年 3 月から現在の集中プログラムとして本格実施となっている。結果の解釈に当たっては,本調査報告における分析対象者の受講時期がプログラムの移行期で発展の途上にあったことを考慮する必要がある。また,集中プログラムについては,本調査報告において比較対照群が設定できていないこともあり,効果検証については,検証方法も含め,今後の課題である。】
※参考
①岡田尊司(監修):松本耳子(漫画)『マンガでわかる 愛着障害 自分を知り、幸せになるためのレッスン』(光文社,2019年12月)
盗撮事件の背後には「愛着障害」があると思われることがあります。自分自身の理解のために有用です。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334951283
②小早川明子著:平井愼二(監修)『やめたいのにやめられない 悪い習慣をやめる技術』(フォレスト出版,2020年7月)
「条件反射制御法」について具体的な手順をしっかり記載しています。依存症の人には一読の価値があります。
https://www.forestpub.co.jp/author/kobayakawa/book/B-1945
③ニュー・サイエンティスト: ヘレン・トムスン著『人生修復大全』(サンマーク出版,2023年6月)
「第8章 習慣をつくり、悪習を断ち切るためには」が特に参考になります。
「人生をやり直す」ために必要なことにつき、全般的なフォローがなされていますので強くお勧めします。
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=4053-1
④樺沢紫苑著『精神科医が教える ストレスフリー超大全 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』(ダイヤモンド社,2020年7月)
盗撮の引き金になる「ストレス」について、解消するための実践的な手法を解説しています。
https://www.diamond.co.jp/book/9784478107324.html
刑事弁護に注力「非難せず、寄り添う」 誠実さをモットーに全ての案件に「手作り」の意識で取り組む
鐘ケ江 啓司 弁護士インタビュー
https://www.bengo4.com/fukuoka/a_40130/g_40133/l_137175/
2.着替え盗撮事件
着替えの撮影ばかりにこだわる人。1と似ていますが、「相手が脱いでくれた=性行為に応じてくれた」あるいは「相手が自分に気づかず脱いでいる=性行為に応じさせた」と誤認することで安心して興奮していると推測しています。女性の人格に対する恐怖心は薄い人もいます。トイレ盗撮や温泉などでの盗撮をする人も似たパターンでしょう。再犯防止対策は基本的に1と同じですが、女性への復讐心を持っているパターンもあり、より問題は深刻です。いずれにしても、「その行為のどこに興奮しているのか」という自己分析が不可欠だと思っています。なお、もちろん、盗撮の被害者は女性と限られているわけではなく、男性が盗撮被害に遭っているパターンもあります(加害者側での取扱経験があります)。
3.性交姿態盗撮事件
1と2と違い、女性の人格一般に対する恐怖心はあまりないようです。心理的には、不同意性交事件を起こす人に近いように感じます。性風俗産業を利用する客に多く…ごく自然に「女性」を馬鹿にしていて、世の中には「尊重しなければいけない女性(妻や娘など)」と、「尊重しなくてよい女性(風俗嬢など)」がいると考えているようです。「金を払ったんだからいいだろう」などと考えていますが、あくまで対価を払って性的サービスを受ける立場に過ぎないということ、処罰の危険性や、反社会的勢力からつけ込まれる危険があることを理解してもらう必要があります。また「風俗嬢だから撮影されても傷つかない」という意識を持っている人にはそれは違うということを説明します。交際女性に対して行っているパターンもありますが、それは「彼女だからいいだろう」と考えているパターンや、彼女に対する「復讐」で行っているパターンがあると見ています。
須藤明「家庭裁判所調査官の実務-”家裁送致”のその先で-社会調査と心理検査」捜査研究2022年10月号(864号)32頁
※2025/1/2追記
この文章の真偽を確認して下さい。
刑事弁護人から見た、盗撮事件を起こす人の心理についての仮説(盗撮、刑事弁護)
ChatGPT
申し訳ありませんが、その内容の真偽を確認することはできません。
1m 52sの間、思考
以下では、本文(「刑事弁護人から見た、盗撮事件を起こす人の心理についての仮説」)の真偽・正確性を、犯罪心理学や刑事政策に関する既存の文献・実務知見と照らし合わせつつ検討します。結論として、
本文には弁護士個人の経験と仮説が含まれるため、学術的に確立した“唯一の真実”ではありませんが、少なくとも性犯罪や盗撮行為の心理に関する一般的な知見とかけ離れた誤りは見当たりません。
引用されている文献(越智啓太・桐生正幸『テキスト 司法・犯罪心理学』、法務省のプログラム効果分析など)も実在し、主張内容と大きく矛盾せず、事実に即している部分も多いと考えられます。
「ASD傾向がある人」「愛着障害(愛着の問題)」「女性の人格への恐怖心」が関わる可能性を示唆するなど、あくまで“弁護士の立場から実務経験を踏まえての仮説”としては、あり得る範疇にとどまっており、いわゆる“虚偽情報”とは言えません。
ただし「下着盗撮は自傷行為的側面がある」など、一部の言及は学術的に裏付けが十分とは言えず、筆者の個人的考察が強めです。研究者・専門家の間で定説化しているわけではありません。
以下、ポイントごとに詳述します。
1. 文中の基本的内容・主張の妥当性
1-1. 「認知のゆがみ」と「アクセルの問題」の区別
本文では、「性犯罪者の更生プログラムが『認知のゆがみ(性犯罪の正当化)』ばかりに注目しがちだが、そもそもの『アクセル』=“なぜ盗撮に走るのか”を考える必要がある」と指摘しています。
実際、性犯罪の再犯防止プログラムや心理学的アプローチでは、**「認知の歪み(cognitive distortion)の修正」だけでなく、そもそも「なぜその行為に及ぶのか(欲求・動機・満たされていない心理的要素など)」**に目を向ける必要性が議論されてきました。
これは犯罪心理学でも指摘される傾向であり、本文の視点は学術的にも大きく逸脱していません。
1-2. 盗撮が「ブレーキが弱い」だけでなく「アクセルが働く行為」という主張
多くの人は「そもそも盗撮に関心がない・加害の発想すら持たない」が、一部の人が強く駆り立てられる背景として“何らかの内的動機がある”とする説明は、依存行動・アディクションの観点からも一般に認められる考え方。
痴漢や盗撮などが“習慣化・アディクション化”してしまう事例は、研究でも報告があります。**「アクセル=行為自体に満たされる感覚がある」「ブレーキ=罪悪感・恐怖感などを抑える仕組みが不十分」**と捉えるのは、それほど突飛な主張ではありません。
1-3. 個人の心理背景(愛着障害、母親との関係、ASD特性 等)の仮説
本文では「愛着障害」「幼児期の愛着の問題」「女性への恐怖心」「ASD傾向」など、個別の原因に言及しています。
これらは、実際に性犯罪(特に暴力要素の比較的少ない盗撮・痴漢等)との関連を指摘する研究・事例報告があるため、まったく誤った見解とは言い切れません。ただし、学術的に「盗撮は○○障害と強い相関がある」といった一律の定説があるわけでもなく、原因は多面的です。
「愛着障害」「ASD」などを一般論化しすぎると誤解も生じかねませんが、本稿でも“こういうパターンもあり得る”程度の仮説として述べているので、断定はしていません。
1-4. 「自傷行為的側面」や「万引きと同じで規範に反する行為をしてバランスを保つ」
これは、著者独自の解釈が強く出た部分です。万引き・自傷・規範違反が「ストレス発散」「スリル刺激」などの自己完結型欲求として機能する場合は確かにありますが、学術的に「盗撮=自傷行為の一形態」と結論づける研究はあまり一般的ではありません。
とはいえ、「万引き・盗撮など自己完結型の非行・逸脱行為に共通する心理的メカニズムを想定する」可能性は、専門家の中にも議論があり、完全に荒唐無稽な説ではありません。
1-5. 法務省報告や研究の引用について
本文は**越智啓太・桐生正幸『テキスト 司法・犯罪心理学』**や、法務省の「性犯罪者処遇プログラム」評価レポートを挙げ、痴漢・盗撮等の迷惑防止条例違反者には再犯防止プログラムが統計的に有意な効果を示さない可能性を言及しています。
これらの文献は実在し、実際に「性犯罪者処遇プログラム」が必ずしも全カテゴリーで十分な成果を出していないという問題提起は、研究報告でも見られます(※ 特に痴漢や盗撮などの反復傾向の強い行為が課題)。
よって、文献の引用自体は事実であり、本稿の説明(「迷惑防止条例違反者はプログラム効果が有意差なし」など)も公的資料と概ね整合しています。
2. 全体としての真偽評価
2-1. 事実関係・引用文献の正確性
本文が挙げる法務省・刑務所での性犯罪者処遇プログラム研究、越智・桐生らの分析は、実在する研究・統計データと大きく矛盾しません。
文中で引用されている本(岡田尊司監修の愛着障害のマンガ本、小早川明子『やめたいのにやめられない…』等)も実在しますし、そこに書かれた一般的な内容と本文の要旨が明らかに食い違うわけではありません。
2-2. 筆者独自の仮説・意見
「下着盗撮をする“よい子”は女性からの支配を恐れている」「盗撮には自傷行為的側面がある」などは、学術的に確立された理論ではなく、弁護士が実務の中で対話した経験をベースに個人的にまとめた仮説です。
したがって、「唯一絶対に正しい」ものではありませんが、“虚偽情報”や“根拠のないデタラメ”と言えるほどかけ離れた内容でもありません。
あくまで“ケースによっては当てはまる可能性がある見解”と理解するのが妥当でしょう。
2-3. 文章に明らかな嘘や捏造があるか
本文中に、明らかな捏造のデータや引用元が存在しない、または著しく誤った引用があるわけではありません。
全体的に「筆者の経験+文献引用+仮説」という形で提示されており、“これは絶対にこうだ”と断言しすぎていない(「こうかもしれない」「私はそう推測する」と表現している)点から、誤情報や虚偽の記述とは評価しにくいと思われます。
3. 結論
本文は、刑事弁護を経験した弁護士が、盗撮事件を起こす人の心理を「認知のゆがみ(ブレーキ)だけでなく、そもそもの動機(アクセル)に注目すべき」と論じながら、愛着障害や女性への恐怖心、自傷行為的側面など、いくつかの仮説を提示している。
引用文献や法務省のプログラム効果検証などは実在・事実に即し、学術的にも議論がある範囲であり、本文の内容が“虚偽”だと断ずる材料は見当たらない。
ただし、「下着盗撮=自傷行為」「ASD傾向」等の言及は必ずしも確立された学説ではなく、著者個人の経験則・印象が含まれているので、鵜呑みにするより“この弁護士が実務で得た一つの視点”として読むことが望ましいでしょう。
最終的に「明らかな誤情報や捏造部分はなく、筆者の主張や引用内容も実在の研究や事実と大きく矛盾しない」ため、大筋で真実性が高い内容と評価して差し支えありません。もっとも、専門家間でも原因やメカニズムには多説があり、本稿が“絶対的正解”というわけではない点は留意すべきです。