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薬院法律事務所

刑事弁護

夫が酔っ払って、警察官に対する公務執行妨害罪で逮捕されたという相談(刑事弁護)


2024年12月03日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、東京都品川区大崎駅のマンションで夫と長男の3人で暮らしている専業主婦です。昨夜、夫の帰りが遅いと思っていたら、警察から電話があり、夫が大崎駅で酔っ払って警察官の方に暴力を振るって逮捕されたと言われました。公務執行妨害罪ということだそうです。もし、このまま捕まったままで、会社に知られたり、報道されることになったら大変なことになります。早急に釈放してもらいたいのですが、どうすればいいでしょうか。

 

A、取り急ぎ、弁護士と一緒に釈放を求めに行くべきだと思います。酔っ払って起こした公務執行妨害罪の場合は、現行犯逮捕をされても、前科がなく、身元がしっかりしていれば、早期に釈放されることも期待できます。身元引受人が必須ですので、直接警察に出向くべきだと思いますし、すぐに動ける弁護士に依頼されるのが良いでしょう。弁護士に依頼しなくても釈放される可能性もあると思います。

 

【解説】

 

酔っ払うと抑制が取れて、暴力的な行動に出てしまう人はいます。警察官が公務執行妨害罪で逮捕することはそう多くないと思いますが、状況次第では当然「逮捕」はありえます。ただ、一般論として、逮捕までは認められても、その後の勾留までは「勾留の必要性」が否定されることもしばしばあるようです。とはいえ、3日間の拘束でも会社には発覚するわけですし、早急に釈放を求めたいところです。「留置の必要性」が否定されれば、早期の釈放も考えられると思いますので、速やか動かれることをお勧めします。

 

刑法

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_5

(公務執行妨害及び職務強要)
第九十五条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。

 

【参考記事】

 

令和06年度 第2回
令和06年09月27日 午後04時00分 午後05時00分
大崎警察署 講堂 4
3
大崎警察署協議会 議事概要

https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/shokai/kyogikai/kyogikai.files/osaki.pdf

【2 警察署協議会からの意見要望等
(1)公務執行妨害事案について
ア 酔っ払いを取り扱う際の公務執行妨害事案が多いようだが、夜間は五反田駅や大崎駅周辺にも酔っ払いが多いので、署員の皆さんは大変だと思う。
イ 地域警察官は様々な取扱いを行い、常に相手から殴打されたり、刃物で攻撃されたりするおそれがあると分かったので、受傷しないため訓練に励んでほしい。】

 

【参考文献】

 

浅香竜太「55 勾留の必要性」田中康郎監修『令状実務詳解〔補訂版〕』(立花書房,2023年4月)317-322頁

321頁

【公務執行妨害の事案も、法定刑が比較的軽い上に、警察官等の公務員に対する罪証隠滅が現実的に考えられなかったりするため(注12)、逃亡のおそれが高くないのであれば、勾留の必要性が否定されることが多い。】

 

「留置の必要性がない」として、逮捕後すぐに釈放されることがあります