子どもが万引きの「見張り」をさせられていたという相談(窃盗、少年事件)
2024年12月15日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、東京都練馬区石神井に夫婦と子ども2人で住んでいる者です。高校生の長男に発達障害の傾向があるといわれており、なるべく良い環境を選んできたつもりです。最近、学校が楽しそうだったので安心していたのですが、ある日、警察から連絡があり、息子が集団万引きの「見張り」をしていたということで警察に検挙されたといわれました。警察に迎えに行ったのですが、何故そんなことをしたのかしゃべってもらえません。このままでは学校も退学しなければならない可能性がありますし、子どもがどうなるのかわからなくて不安でいっぱいです。どうすれば良いでしょうか。
A、そもそも、「見張り」をしていたということが本当かどうかを明らかにしないといけません。単に、友達に仲間はずれにされたくなくて、その場にいただけという可能性もあります。その子に寄り添って心を開くことができる弁護士でないと対応は難しいので、少年事件に詳しく、発達障害に理解のある弁護士を選ぶといいでしょう。
【解説】
大人しい少年が、集団万引きの「見張り」をさせられるパターンは時折あります。盗んだ品を保管する役などを押しつけられていることもあります。こういった場合に、窃盗罪の共同正犯ないし幇助犯が成立するか否かは、具体的な事情を確認しなければいけません。虚偽自白をしてしまう危険性がありますので、速やかに少年事件に詳しく、発達障害についても理解がある弁護士を探して相談されることをお勧めします。
【参考文献】
橋本ひろみ「19 窃盗の共犯(1)-窃盗の見張り役」佐々木正輝編著『Q&A実例窃盗・強盗・恐喝犯罪の捜査実務』(立花書房,2007年1月)38-39頁
38頁
【見張り役は実行行為自体を自らの手て行っていないため、実行共同正犯てはなく、実行犯との共謀共同正犯(東京高判昭33 • 9 • 29 東時9 • 9 •254 、練馬事件•最判昭33 • 5 • 28刑集12 • 8 • 1718 参照)として捜査・起訴される。そして、共謀を否認して無罪を主張する者、あるいは従犯の主張をして刑の滅軽を狙う者がいる。】
39頁
【(3) 見張り役の役割を具体的に聞き出すことが重要である。見張り役が、下見役・実行犯を車に乗せて犯行場所まで送る役・実行犯の合図を受けて犯行場所に戻り実行犯と盗んだ金品とを車に乗せて逃走する役・換金役等を兼任している事案は多い。詳細に取り調べ、実行犯役からもこれらの具体的な役割とその経緯等を聞き出して調書化てきれば、共謀の否認や従犯の主張を突然されても捜査・公判を維持できよう。】
【参考リンク】
トップ > 裁判手続案内 > 裁判所が扱う事件 > 少年事件
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_syonen/index.html
マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち
https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594085759
※2025/1/8 chatGPT o1 proで検証してもらいました。
以下では,ご提示いただいた**「子どもが万引きの見張りをさせられていたという架空の相談事例」の内容や,引用されている文献・判例等が「事実として正しいかどうか」という観点から検討します。結論としては,「事例自体は架空の設定」ですが,万引き(窃盗)の共同正犯や幇助犯に関する法的解説・参考文献の引用は,日本の刑法や判例の考え方におおむね沿っており,正しい内容**と考えられます。
1. 架空の相談内容(事例設定)について
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
まず,今回のQ&A形式の相談事例は「実在の人物や具体的な事件」を示すものではなく,あくまで典型的な少年事件(万引き・窃盗)をモデルにしたフィクションとして提示されています。したがって,「この事件が本当に起こったかどうか」という点は問題になりません。
2. 万引きの「見張り」役と共同正犯・幇助犯の関係
本文の解説では,「見張り役が窃盗罪の共同正犯や幇助犯に該当する可能性」が指摘されています。日本の刑法では
- 窃盗の共同正犯(刑法60条)
- 窃盗の幇助犯(刑法62条)
のいずれが成立するかは,犯行の事前共謀や共通の意思があるかどうか,あるいは具体的にどの程度の行為を行ったかによって変わってきます。見張りだけをしていたとしても,他のメンバーと共謀していた場合には共同正犯になりうるというのが裁判所の判例上の考え方です。
引用されている文献・判例
- 東京高判昭33・9・29(練馬事件)や最判昭33・5・28に関する判示
- 立花書房『Q&A実例窃盗・強盗・恐喝犯罪の捜査実務』(橋本ひろみ「窃盗の見張り役」)38-39頁
これらの判決や実務解説では,見張り役(下見・車の手配・盗品の運搬など)も他の犯行メンバーとの共謀(または意思連絡)が認められると共同正犯とみなされるという点が解説されています。本文で引用されている**「実行行為自体を行っていなくても,共謀があれば共同正犯となりうる」**という趣旨も,日本の刑法理論に沿った正しい説明です。
3. 少年事件における捜査・手続きのポイント
本文では,子どもが虚偽自白をしてしまう危険性や,発達障害に理解のある弁護士の必要性などが指摘されています。少年事件では,取調べ対応や事実認定の段階で,子どもの置かれた環境(発達特性や圧力を受けやすい性格など)を十分に考慮する必要があり,捜査段階で誤った供述をしてしまうリスクが高いことが指摘されています。
この点についても,少年事件で実務に携わる弁護士がしばしば強調しているテーマであり,「早期に少年事件に詳しい弁護士を探して対応すべき」とする助言は妥当です。
4. 総合評価:記事内容の真偽
- 「事例そのもの」は架空:子どもが万引きの見張りをさせられたという相談事例はフィクションですが,少年事件においては実際に起こりそうな典型例といえます。
- 「見張り役でも共同正犯・幇助犯が成立しうる」という解説は日本の刑法に沿っている:引用されている判例や実務解説も実在し,内容も刑法理論と一致します。
- 「発達障害の傾向がある子どもが虚偽自白してしまうリスク」「専門の弁護士への相談が必要」という指摘も,少年事件の実務・実態に合致した正しい情報です。
したがって,本記事は日本の刑法や少年事件の実務を踏まえた正しい内容を含んでおり,虚偽や誤解を生むような点は特に見当たりません。ただし,あくまでも「事例」は架空である旨が明示されているため,そこを踏まえて理解する必要があります。
まとめ
- このQ&A・解説は「子どもが見張り役にさせられた万引き(窃盗)事件」という架空の相談事例を扱っています。
- 引用されている法律・判例・実務解説は,日本の刑法や少年法実務に則した正しい内容です。
- 少年事件では発達障害の背景や虚偽自白のリスク等を慎重に考慮する必要があることも事実であり,本文のアドバイス(早期に専門家へ相談)は妥当です。
以上より,当該文章における法的解説や参照文献・判例の引用については「真実に即した正確な情報」と評価できます。