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薬院法律事務所

刑事弁護

盗撮事件、前科はないけど前歴多数の事件で不起訴になるかという相談(盗撮、刑事弁護)


2024年12月09日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、福岡市に住む30代男性です。駅のエスカレーターで、スマートフォンで女子高生のスカートの中を盗撮していたところ、被害者に気付かれて捕まえられました。実は、私はいままで前科はありませんが、被害者が被害届を出さなかったということで処罰されなかった前歴が4件あります。こういった場合でも、示談すれば不起訴になるのでしょうか。

 

A、前科がない場合でも、示談すれば必ず不起訴になるというものではありません。そして、常習性があると判断されれば、当然初犯でも起訴されることはあります。4件というのは数が多いので、示談ができても起訴される可能性は十分あります。

 

【解説】

 

たまに誤解されている方がいますが、前科がなくても、前歴があれば検察官は処分にあたって考慮要素として取り入れています。

 

刑事訴訟法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131#Mp-Pa_2-Ch_2

第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

 

【参考文献】

 

吉田博視「刑事訴訟法248条」河上和雄ほか編『大コンメンタール刑事訴訟法第二版第5巻〔第247条~第281条の6〕』(青林書院,2013年1月)56-91頁

62頁

【犯人自身(行為者)に関する事項「犯人の性格,年齢及び境遇」は,犯人自身(行為者)に関する事項である。「性格」とは,生来の素質を基礎としつつ,環境との接触による体験によって影響され,形成される人格であり,各個人に特有の,ある程度持続的な行動の様式をいう。具体的には,性質,素行,遺伝,習慣,学歴,知識程度,経歴,前科前歴の有無,常習性の有無などがこの範疇に入る。】

https://www.seirin.co.jp/book/01586.html

 

田邊三保子「53 痴漢及び盗撮の常習性 〇福岡高判平22・9・24高検速報集平22 • 232」植村立郎編『刑事事実認定重要判決50選(下)《第3版》』(立花書房,2020年3月)171-186頁

182頁

【常習盗撮罪においても,常習痴漢罪における常習性の認定要素と重なるところが多く,特に,同種の前科前歴の存在,その件数及び本件盗撮行為との間隔は,盗撮事案においても,常習性を認定する上で最も重要な指標であるといえる。】

https://tachibanashobo.co.jp/products/detail/3599

 

盗撮事件弁護要領(性的姿態等撮影罪・迷惑防止条例)

【解決事例】盗撮の余罪が多数ある事件で、不起訴にできないかという相談

同種余罪があることは量刑にどのような影響を与えるのか(盗撮、万引き、大麻所持、道路交通法違反)

 

※2025/1/8 chatGPT o1 proで検証してもらいました。

以下では,ご提示いただいた**「盗撮事件で前科はないが前歴が多数ある場合,示談しても不起訴になるか」という架空の相談事例**の内容や,引用されている刑事訴訟法や文献の説明が「事実として正しいかどうか」を検討します。結論としては,事例自体は「架空の設定」ですが,前歴があって常習性が認められる場合に起訴される可能性が高くなるという説明は,日本の刑事実務の運用と合致しており,正しい内容といえます。


1. 架空の事例としての前提

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

本Q&Aは,「実在の人物や具体的な事件」を扱うものではなく,よくある盗撮トラブルをモデルにしたフィクションです。したがって,「本当にこの事件が起きたかどうか」という点を問題にする必要はなく,あくまで法的論点を示す想定事例と理解すれば十分です。


2. 盗撮事案と示談,不起訴の可能性

2-1. 迷惑行為防止条例や軽犯罪法等の適用

多くの盗撮事案では,都道府県の迷惑行為防止条例違反として立件されることが多いです(場所や態様によっては軽犯罪法等が適用される場合もあります)。いずれにしても,被害者との示談が成立すれば不起訴になりやすい傾向はあるものの,それが「必ず」ではない点が本文で指摘されています。

2-2. 示談しても不起訴にならない可能性

  • 刑事訴訟法248条では,「犯人の性格,年齢,境遇,犯罪の軽重,情状及び犯罪後の状況」を考慮し,起訴猶予(不起訴処分)にできるかどうか検察官が判断します。
  • 示談が成立して被害者の処罰意思がなくなっても,検察が「常習性が高い」「再犯可能性が高い」等を重視すれば起訴に踏み切ることがあります。特に盗撮や痴漢などで前歴が多数ある場合は,再犯リスクを考慮して初犯であっても簡単に不起訴にはならないケースが実務上少なくありません。

3. 「前科」と「前歴」の違いと常習性の判断

本文の【解説】では,「前科」がなくても「前歴」が複数ある場合,検察官がその事情を考慮するという点が指摘されています。これは実際に,

  • 「前科」:過去に有罪判決を受け,刑の言い渡しが確定している
  • 「前歴」:逮捕や捜査歴はあるが,不起訴処分や嫌疑不十分等で終わり,有罪判決には至っていない

を区別する概念です。もっとも,前歴も「同種事件の再犯可能性がある」として常習性判断の材料にされることがあり,検察の処分判断に影響を及ぼすことは実務的にも広く知られています。

本文で示されている

「常習性があると判断されれば,初犯でも起訴される可能性がある。4件というのは数が多いので,示談ができても起訴される可能性は十分ある。」

という説明は,盗撮・痴漢などの再犯率が高い犯罪類型においては実際に起こりうる判断です。引用文献(「常習盗撮罪における常習性の認定要素」「同種の前科前歴の件数と本件との時間的間隔が最も重要な指標となる」)なども,刑事実務での常習性判断がどうされるかを説いており,正しい内容といえます。


4. 総合評価:記事内容の真偽

  1. 事例そのものは架空:前歴4件の盗撮がある被疑者が今度も示談をすれば不起訴になるかどうか,という例はフィクションですが,十分あり得る想定場面です。
  2. 「示談すれば必ず不起訴」という誤解への指摘は実務に沿った正しい説明:検察官は犯罪の態様,常習性,再犯可能性などを総合的に判断し,示談があっても起訴する場合があります。
  3. **「前科がなくても前歴があれば検察が処分を重く判断する」**という解説も,刑事訴訟法248条の運用実態に合致する。
  4. 引用文献(刑訴法解説,常習盗撮罪における認定要素等)も実在する資料であり,その内容も日本の刑事司法の考え方と整合的です。

以上により,本記事は「法的解説」としておおむね真実に即した内容であり,特に虚偽や誤解を招く部分は見当たりません。あくまでも「架空の事例」を前提に,「盗撮における示談と不起訴の関係」「前歴を踏まえた検察の判断」の実情を正しく解説していると評価できます。


まとめ

  • このQ&A・解説は,「盗撮を繰り返していたが前科はない被疑者が,また捕まった場合,示談で不起訴になれるのか」という架空事例を題材に,刑事実務で考慮される常習性や示談の効果などを説明しています。
  • 示談は不起訴を得る上で有力な要素にはなるものの,「常習性がある」「再犯リスクが高い」と判断されれば起訴の可能性は十分あるという指摘は,刑事実務において正しい理解です。
  • 前科がなくても複数の同種前歴がある場合,検察はより厳しく判断するという趣旨も,刑訴法248条の運用や文献に基づいた正確な説明です。

よって,当該記事の法的内容は真実に即しており,誤りや虚偽は認められません