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薬院法律事務所

盗撮

膝下の盗撮は犯罪行為になるか(性的姿態等撮影罪、迷惑防止条例違反)


2021年07月31日盗撮

Q、私は脚フェチで、女性の脚をこっそり盗撮してきました。性的姿態等撮影罪にはあたらないようですが、これは犯罪にはならないでしょうか。

A、現在は、迷惑防止条例違反とされる可能性が高いです。

 

【解説】

膝下の盗撮は、着衣の上からの盗撮と同様に考えることができます。かつては迷惑行為防止条例違反で処罰されない傾向にあったのですが、近時は盗撮行為に対する意識が高まっていることから、処罰される傾向にあります。本記事の末尾にあるように、実際の処罰例も出てきています。そうなると、今後はより検挙されやすくなると思います。

 

【参考文献】

中村孝「いわゆる迷惑防止条例違反の成否が問題となった事例」(研修671号)117-124頁

122-123頁

【これに対し,(l)の事案の行為については問題である。この点,研修員の意見としては,被疑者は女性の膝下を撮影することで興奮を憶えるのであり,かつ,撮影されたX女も非常に恥ずかしい思いをしているのであれば,「卑わいな言動」に該当するといえるのではないかという意見(積極説)もあった。

しかし,そもそも膝下というのは, スカートを履いた女性が誰でも露出して歩いている部分であり,世間一般に露出されている部分を撮影することが直ちに卑わいな言動に当たるとは言い切れないのではないかという意見(消極説)が多かった。
思うに,人の主観的意図・,認識は千差万別であり,これを基準として「卑わいな言動」かどうかを判断することはできず,前記の判例が述べるとおり,健全な社会常識に基づいて客観的に考察しなければならないであろう。そうすると,現在における社会常識に基づき,撮影された場所がパチンコ店内という公の場所であることをも考慮すれば,やはり消極説が妥当であると思われる。(注3)
なお,原庁処理も,消極説と同様の考えの下に不起訴処分としたとのことであった。】

梶山健一郎「ショートパンツを着用した被害者が自ら露出している膝裏付近の動画撮影行為であっても、社会通念上、性的道徳観念に反する下品でみだらな動作であり、被害者と同様の立場に置かれた人を著しく差恥させ、かつ不安を覚えさせるような行為であると認められるとした事例(東京高判令5. 7. 11判決・確定」研修905号(2023年11月号)76-86頁

86頁

【そこで、卑わいな言動として認定されたものと思われるが、その意味内容は解釈に委ねられているため、ある行為がこの卑わいな言動に該当するというためには、いわゆる盗撮行為と同じように卑わいな行為と評価でき、人を著しく蓋恥させ、又は不安を覚えさせるような行為であると評価できることが必要であろう。
本件判決においても、その認定に当たっては、被害者が身に着けていたショートパンッの裾から出ている大腿部が対象であること、撮影に当たり、一定の時間被害者の後を付け、その背後直近から撮影していること、その方法は下着の盗撮等と同様であったことなどを検討しており、いわゆる盗撮行為と同程度の行為であると認定したものと思われる。】

 

【参考記事】

盗撮事件弁護要領(性的姿態等撮影罪・迷惑防止条例)

着衣の上からの無断撮影も盗撮か?

盗撮事件を起こす人の心理について(仮説)

盗撮(性的姿態等撮影罪・迷惑行為防止条例違反)事件で自首をすべきかどうかという相談

 

※近時の処罰事例です

梶山健一郎「ショートパンツを着用した被害者が自ら露出している膝裏付近の動画撮影行為であっても、社会通念上、性的道徳観念に反する下品でみだらな動作であり、被害者と同様の立場に置かれた人を著しく差恥させ、かつ不安を覚えさせるような行為であると認められるとした事例(東京高判令5. 7. 11判決・確定」研修905号(2023年11月号)76-86頁