他人の後ろ姿を盗撮して交番に連れて行かれたけど、厳重注意で帰されたという相談(盗撮、刑事弁護)
2022年08月08日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、先日、繁華街で女性の後ろ姿をスマホで撮影しながら歩いていたところ、通行人から見とがめられて、警察を呼ばれました。警察では、データを確認されて、削除するようにいわれて削除して解放されたのですが、これからどうなるか心配です。警察からは「何かあったら連絡する」と言われています。
A、おそらくは、厳重注意処分だけで終了しています。とはいえ、不安であれば弁護士の面談相談を受けて正確な状況を確認してもらうべきです。
【解説】
良くある相談ですので、私の見解を書きます。但し地域によって異なる取扱いがあることも想定されますので、あくまで参考意見としてご覧ください。まず、着衣の上からの盗撮については、一定の場合は迷惑行為防止条例違反になります。
事件番号
平成19(あ)1961
事件名
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件
裁判年月日
平成20年11月10日
法廷名
最高裁判所第三小法廷
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=37011
判示事項
1 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号にいう「卑わいな言動」の意義
2 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号の「卑わいな言動」の要件は不明確か
3 ズボンを着用した女性の臀部を撮影した行為が,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動に当たるとされた事例
もっとも、これにあたらない場合でも、望ましい行為とはいえません。肖像権侵害の問題も生じます。そこで、警察官としては、警察法に基づき指導・警告を行うことになります。標題の相談については、上記の取扱いがなされたものと思われます。
地域実務研究会編『地域警察官のための初期捜査活動』(立花書房,2005年8月)124頁
【ウ相手方に対する指導・警告又は説得
相談時点では刑罰法令に触れないが,将来,相談者等に危害が生じるおそれがあると認められる場合には,相談者等の意向を踏まえ,相手方に対する指導・警告又は説得を行う。この場合,原則として,相談者等の要請がある場合に,警察法に規定されている「犯罪の予防」という目的を達成するために指導・警告又は説得活動(相談者等の同意を得て住居内に立ち入ることを含む。) を実施すること。】
※状況に急迫性があれば、警職法5条、6条に従い立ち入り等の措置が行われることもあります。
この相談記録は警察に残されますが、いわゆる「前歴」や「前科」になるものではないです。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/3.html
【また、寄せられた相談に対しては、相談内容に応じて関係する部署が連携して対応し、指導、助言、相手方への警告、検挙等、相談者の不安等を解消するために必要な措置を講じています。】