【解決事例】職場の女子トイレで盗撮をして、被害者が示談交渉を拒否しているという相談
2024年08月15日刑事弁護
※解決事例は実際の取扱事例をモデルにしていますが、特定を避けるため、複数の事例を組み合わせる等した上で、大幅に内容を変更しています。
【相談】
Q、私は、職場内で女子トイレに潜み、隣に来た女性がトイレを利用している姿を、スマートフォンを上から差し入れて盗撮していました。しかし、被害者が気がついて、女子トイレを出たところで捕まってしまいました。被害者の方は酷く傷ついたということで、お詫びできていません。前科をつけたくないのですが、どうにかならないでしょうか。
A、被害者が示談交渉に応じるか否かは被害者が決めることです。しかし、粘り強く示談交渉を継続することで、示談が成立することもあります。
【解説】
私が以前取り扱った事例をモデルにしています。ご相談者様は、大手の弁護士法人を含めて複数の弁護士事務所にご相談されていました。その上で、私が一番寄り添って話を聴いてくれたという理由で、私を選んでくれました。女子トイレ内に侵入しての盗撮の場合は、建造物侵入と、迷惑行為防止条例違反(※当時)が成立します。エスカレーターなどでの盗撮と比較して犯情が悪く、また、被害者の精神的衝撃も大きいです。早速、建造物の管理者と盗撮被害者に示談交渉を行うために警察を通じて打診しましたが、施設は被害者が許さない限り示談出来ないとのことで、盗撮被害者は示談交渉自体を拒否されました。本人にクリニックに通院させたり、反省文を書かせたりしてその結果を警察に提出しました。何度か打診していたところ、検察官に送致された後に被害者が示談交渉に応じてくれました。示談交渉も難航いたしましたが、示談が成立し、不起訴になりました。
盗撮事件では、被害者との示談が成立するか否かが大変重要です。しかし、本件のように被害者側がそもそも示談交渉に応じないということがあります。そういった被害者でも、警察官や検察官からの連絡は聞いているわけですから、警察官、検察官を通じて本人が深く反省していることが通じると、示談交渉に応じてくれることがあります。そのためには、弁護人が警察官や検察官と直接面談の上、余罪も含めて率直に話をすること、本人が更生のために努力していることを伝えることが大事だと思っています。勿論、警察官・検察官が被害者にどういった話をされるかは弁護人にもわからないところですが、粘り強く、誠実に対応しようとする意思を伝えるべきです。
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000067
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
法務省 性犯罪関係の法改正等 Q&A 令和5年7月
https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00200.html